市村正親「30年間同じ役を演じても、飽きることなど一切ない」
アスリート、文化人、経営者など各界のトップランナーによる、人生の特別講義を提供するイベント「Climbers(クライマーズ)」。その第7弾が、2024年5月15日、16日の2日間にわたって開催され、ビジネスパーソンを大いに熱狂させた。今回、俳優の市村正親さんによる特別講義を一部抜粋して掲載。 【写真】『カメラを止めるな!』上田慎一郎によるClimbersの特別講義
好きな道であれば、必ず未来は開ける
川越商業高校時代に演劇に目覚め、卒業後は舞台芸術学院に通いました。3年間、真面目に1日も休まずに授業に通い続けた。だって、授業料を払っているんだから、回収しないともったいないでしょう。途中で脱落する生徒が多く、入学時に50数人いた同級生は卒業時には12人になってしまいました。 卒業後、俳優の西村晃さんの付き人をやらないかと声がかかった。真面目で付き人にぴったりのタイプだと思ったのでしょうね。誘いに応じ、3年間、付き人を務めました。これが人生にとって大きなプラスになった。西村晃さん、森繫久彌さんをはじめ、たくさんの役者を見ることができましたから。 座長クラスの売れている役者は、酒を飲んでいても麻雀をやっていても、芝居の話しかしない。売れてない役者は、飲んでいる時に愚痴や不満ばかりを言っている。手本にしたい人と、ああいう人間にはなりたくないって思う人の両方と接することができました。 3年後、付き人を辞めて劇団四季のオーディションを受けました。学校3年、付き人3年、そろそろ自分のことを第一に考える時期かなと思ってのことです。演目は『イエス・キリスト=スーパースター(後のジーザス・クライスト=スーパースター)』。会場に行ったらものすごい人数で、イエスやユダなど主要キャストは到底受からないだろうと思いました。そこで複数の出演者を募集している役を狙い、第一希望は群衆、第二希望は使徒を選択。だって、オーディション参加費用として5000円を支払っている。何か役を取らないと元が取れないでしょう。 思惑通り、群衆役に合格。後にヘロデの役もいただきました。そのヘロデが好評で、劇団四季から「正式に入団しないか」と声がかかったんです。