爆騰するマンション、実例から学ぶ購入時に必ず守るべきこと 物件を選ぶ際に重要な「資産性の原則」とは?
■局地的に価格が上がるのは駅前大規模再開発と新駅 例外として局地的に価格が上がるのは、駅前大規模再開発と新線・新駅だ。麻布台ヒルズは、神谷町駅と六本木一丁目駅を地下で直接つないでいるのと、200億円以上という最上階のペントハウスが話題を呼んだ。最近はこれに加えて、「都心・駅近・タワー・大規模・ファミリータイプ」の好立地新築が出てくると周辺相場を押し上げる。 都心の話をしてきたが、それ以外のエリアとの比較で市場を正確に理解しておこう。
不動産会社が共有している成約データを集計した結果はレインズタワーというサイトでデータが公開されており、都心3区、東京都、首都圏というエリア区分で集計されている。2023年に相場の天井が抜けたので、2022年の月次平均値と直近の半年(2023年10月~2024年3月)の平均を比較してみる。 都心3区の成約件数は14%増え、在庫件数は6%減っている。在庫件数に対する成約件数は2013年以降の平均で6.3%であり、平均成約期間が3カ月であることを考えると、売り出された物件の20%程度しか成約に至っていない。それでも在庫が相対的に少ないので、売り出される在庫価格は高く、成約価格は在庫価格の86%にすぎない。
つまり、物件検索サイトに載っている売り出し価格は成約ベースの2~3割高く設定されており、高値つかみする客を気長に探していると考えられる。とはいえ、割高な価格設定の物件ばかりの中では割安に買うことはしにくく、仕方なく割高と知りながら成約する事例も多い。この結果、以前の成約件数よりも25%も増えている。 ■東京都全域で見ると話が変わる これが郊外を含めた東京都全域で見ると話が変わってくる。成約件数は以前より10%増えたが、在庫件数も11%増えている。在庫が相対的に多い中、成約価格は在庫価格の101%となり、成約のほうが高くなる。
在庫価格より高くなるのは、好立地で高価格な物件のほうが成約することを意味している。相場が上がったから売りに出してみたものの、立地の悪い物件は見向きもされていない可能性が高い。都心3区はどこも好立地だが、東京都全域ではそうとはかぎらないところも多くなる。 首都圏全体になるとその傾向がさらに顕著になる。成約件数は以前より7%増えたが、在庫件数は22%も増えている。在庫が増えた分、在庫に対する成約件数の割合は9%程減り、売れ行きは悪い。そんな中、成約価格は在庫価格の104%となり、成約のほうが一層高くなる。