ギャンブル依存症、2大症状は〝うそと借金〟 市内の当事者男性「正しい知識と行動を」【宇部】
米大リーグ、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の元通訳が違法賭博に関与したとして解雇され、その後、ギャンブル依存症であることが判明した。同依存症とは何なのか。その特徴や宇部市内の状況を高嶺病院(佐々木順院長、二俣瀬善和)の精神保健福祉士、岡村真紀さん、そしてギャンブルにのめり込んでしまった同市に住む男性(42)に聞いた。 ギャンブルは公営競技のオートレースやボートレース、競輪、競馬に加え、パチンコなどが挙げられる。同依存症は1970年代後半に世界保健機関(WHO)において「病的賭博」という名称で正式に病気として認められた。 ギャンブルを他の何よりも優先させて、時間や頻度を自分でコントロールできなくなり、多額の金銭的損失に加えて夫婦間の対立や健康への悪影響を引き起こす。その行動によって家族にまで重大な苦痛や障害が生じ、仕事もままならない状況になると診察が必要になる。 同病院への新規の電話相談はアルコール依存症が大半を占めるが、昨年はギャンブル依存症が全体の20%となり、データが残る2018年から倍近くに増えている。コロナ禍でオンラインギャンブルが増えたことが一因だ。手軽さはあるが、一方で損失は大きくなりやすいという。 借金が重なり、自身で情報を調べて自らの意思で相談に来る人がアルコールの場合よりも多く、幼少期からの虐待や放任も大きなきっかけになっているという。相談後、深刻な場合は認知行動療法を受け、依存症を自覚した上で回復を目指す。 岡村さんはうそと借金をギャンブル依存症の2大症状に挙げる。ギャンブルによる借金問題が繰り返される場合には依存症を疑い、早期の相談、治療を勧めている。「生きづらさが根底にあり、それを埋めるためにギャンブルに走ってしまう。回復するには共に分かち合える仲間をつくることが重要」と力を込める。 依存症の男性は同病院に相談し復帰への道を歩み始めて8年目。友人や先輩の影響で15歳からパチンコを始め、20歳ごろには借金を抱えるようになった。「借金を返すことが優先となり、周りが見えなくなっていた」と話す。 同病院との出合いは35歳の時。現在はスタッフとして働き、地域の共助グループにも参加して同じ境遇の人と一緒に乗り越えている。「正しい知識と行動で回復できる病気。勇気を持って家族や病院に相談してほしい」と訴える。