「しかられるぐらい大きな音で」アジカン・後藤さん、生徒に演奏指導
人気ロックバンド「アジアン・カンフー・ジェネレーション」(アジカン)でボーカルやギターを担当する後藤正文さん(47)によるバンドクリニックが7日、静岡県藤枝市天王町1の藤枝東高で開かれた。ギター部の生徒が演奏を披露し、技術指導を受けたり、日ごろの音楽活動へのアドバイスをもらったりした。【藤倉聡子】 後藤さんが中心となり、藤枝市を拠点に設立したNPO法人「アップルビネガー音楽支援機構」と同市の連携協定に基づき、「音楽によるまちづくり・若手音楽家の育成支援」の一環として、約2時間のクリニックが実現した。 ギター部の生徒ら約40人が参加。部員による三つのバンドが演奏を披露した。後藤さんは音量の調整や、ボーカルとギター、ベース、ドラムのバランスなどをアドバイス。「この曲は、先生にしかられるぐらい大きな音を出して」と励ましたり、生徒と一緒に掛け声を飛ばして演奏を盛り上げたりした。 生徒からの「音楽で一番大事なことは」との質問には、「聴くこと」と回答。「まずは自分の音をしっかり聴く。そして、バンドの他のメンバーの音を聴く。バンドのハーモニーの中で、自分が正しい位置にいるかも聴く。演奏しながら聴く余裕を持てるまで練習すれば、楽しさが生まれ、バンドに一体感が出る」と説明した。 アップルビネガー音楽支援機構は今年5月、大手レーベルに属さないミュージシャンの支援を目的に設立された。同市藤枝1にある築100年以上の土蔵を音楽制作スタジオに改修。併せて隣接するビルにミュージシャンのための宿泊施設や、地域交流などに使用できるスペースを作り、「Music Inn Fujieda(ミュージックインフジエダ)」として整備する事業を進めている。2025年秋ごろ完成予定。 後藤さんは「スタジオ完成後は、高校生にも、録音を見学したりアシスタントを務めたりする機会を提供できれば」と話す。交流スペースでは作詞や作曲のワークショップなども開き、年齢を問わず一般の音楽愛好家も情報に接することができる空間作りを目指すという。 アップルビネガー音楽支援機構は、ミュージックインフジエダを整備する費用に充てるためのクラウドファンディングを12月15日まで実施している。詳細は同機構のウェブサイト(https://www.applevinegarmusicsupport.com)。