おせち、テーマは能登応援 ふんだんに食材使い 早くも商戦スタート
石川、富山のホテルや料理店などで早くもおせち商戦が始まっている。来年の元日で能登半島地震から1年。今年は「能登の復興支援」をテーマに各社が能登の食材をふんだんに使ったおせちを取り扱っている。全国の百貨店や小売店でも特集が組まれており、「食べて応援」の動きの広がりが期待される。 金沢ケーブル(金沢市)の通販サイト「金沢楽座」は9月29日、おせち料理の予約受け付けを開始した。今年は志賀町のレストラン「てらおか風舎」や七尾市の料理店「番伊」が手掛けた、能登の食材を使った商品を販売する。担当者は「少しでも能登を応援したい」と被災地に思いを寄せた。 七尾市和倉温泉の加賀屋グループの食品販売部門「加賀屋ゼネラルフーヅ」は9月10日から、「福幸おせち」を販売。和風三段重と豪華和風四段重の2種類で、どちらも能登の魚醤(ぎょしょう)「いしる」や奥能登でとれたサザエを盛り込んでいる。旅館は地震で大きな被害を受けて休業中であり、担当者は「多くの励ましや心配をもらって少しずつ復興が進んでいる。来年が良い年になるようにと願いを込めた」と話した。 銀座や浅草で百貨店を運営する松屋(東京)は「北陸のおせち」の展開数を前年から6品増やして20品とし、新たに「能登の美味特集」を設けた。七尾市和倉温泉の旅館「渡月庵」の和洋おせちやスギヨグループ「杉野屋与作」(同市)のブリしゃぶセットなどを取り扱う。 大手コンビニチェーンでも被災地応援の動きが盛んだ。ファミリーマートでは、9月26日から受け付けをスタートした「ファミマのおせち」の中で、能登牛や富山県産ホタルイカを盛り込んだおせちを用意。セブン-イレブン・ジャパンも加賀屋が監修したおせちを「北陸復興支援おせち」として発売しており、売り上げの一部を被災地に寄付する。 ●富山でも予約開始 富山県内でもホテルでおせちの予約が順次始まっている。ホテルグランテラス富山(富山市)は1日から予約を開始し、5、6人前の和洋中華三段重を筆頭に、素材や彩りを意識した10種類程度をそろえ、価格は据え置いた。ANAクラウンプラザホテル富山(同)も1日から取り扱いを始め、限定30食の和食三段重をはじめ、和洋中の三段重、和洋の二段重などを展開している。 ●金沢楽座は早割 金沢ケーブルの通販サイト「金沢楽座」では、10月31日までの注文で、正月用おせち料理の一部が1割引となるキャンペーンを行っている。 早期割引の対象は会席料理の名店「日本料理 しげ乃木」のおせち、金沢ニューグランドホテルの和洋中二段重などで、堅調に注文が入っている。郷土料理研究家、青木悦子さん監修の「四季のテーブル」、浅田屋、大友楼、金城樓の商品も展開する。