自主トレは1人でやれ!バッターとピッチャーが一緒に自主トレをするなど言語道断【張本勲の喝!!】
大勢で自主トレをすると妥協が生まれてしまう
長嶋さんは毎年のように山籠もりを行っていた
最近の選手たちの自主トレの様子を見ていて、言っておきたいことがある。他球団の選手を含め大勢で連れ立って、団体旅行や観光旅行のような気分で自主トレを行うのはやめたほうがいい。さらに言えばバッター同士、ピッチャー同士なら百歩譲ってまだ分かるが、バッターとピッチャーが一緒に自主トレをするなど言語道断。これは“喝”だ。 自主トレは1人、もしくは練習パートナーとして2人までがせいぜい。3人以上はダメだ。もちろん、皆で連れ立って行っても練習はしっかりしているのだろうし、そこを疑うつもりはない。問題は複数で連れ立って練習していると、どうしても妥協が生まれてしまうということだ。 ほかの選手が刺激になるというのは春季キャンプも終盤になってからの話。この時期はそう簡単ではない。むしろ甘えになりやすい。自分は10本走った、相手も10本走った、ノルマをこなしたから互いにそれでいいだろう、となってしまいがちだ。そこから「まだあと5本走るのだ」と気持ちを奮い立たせることが難しくなる。人間はラクをしたいと考えてしまう生き物だ。どうしても「あいつがあれだけしかやっていないのだから、自分もこれだけでいいだろう」と考えてしまうものなのだ。 1人や2人で練習や自主トレに没頭していれば、そうはならない。向上心が強ければ強いほど、いくらノルマをこなして体はクタクタになっても、「待てよ」となる。「自分がこれだけやっているのだから、ライバルたちはもっとやっているに違いない」という不安に襲われるのだ。そしてそこからまた、気持ちを奮い立たせて練習を積むことができる。逆に言えば、そう思わない選手は一流にはなれない。 1人で練習に打ち込んでいると、いろいろな考えが頭に浮かんでくる。前年の成績を思い返して悔しさがこみ上げ、たとえそこそこの成績を残していたとしても「来シーズンはどうなるのか、また打つことができるのか」という不安が頭をもたげてくる。不安に思うから、さらに練習に打ち込むことができるし、練習に打ち込みながらさらにいろいろな考えが頭に浮かんでくるから、次につながるヒントを得ることもできる。 長嶋茂雄さん(元巨人)も・・・
本文:2,534文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
週刊ベースボール