日本がこれだけ物価高でも「脱デフレ」宣言できない原因
食品や日用品の値段が上がっても「脱デフレ」ではない?(画像:sasaki106/PIXTA)
テレビでもおなじみ、第一生命経済研究所の首席エコノミスト、永濱利廣さんが「ニュースでよく見る経済統計」をわかりやすく解説するコラムです。今回は経済全般の価格動向を示す物価について説明しましょう。物価は「経済の体温計」とも呼ばれます。これは物価が需要と供給の関係で決まり、経済活動が過熱すると上昇するためです。最も代表的な物価統計は、家計が消費するモノやサービスの価格を指数化した総務省の「消費者物価指数(CPI)」となります。 CPI(総合)を見ると、アベノミクスの効果もあり2019年度まで上昇し続けましたが、コロナショックの影響により2020年度は下落に転じました。2021年度から再び上昇に転じ、今年8月には生鮮食品除く総合で前年同月比2.8%まで上昇しています。 日本はデフレからインフレに転じた、と言えそうですが、財・サービス別に細かく見ると、食料品やエネルギーなどの財(モノ)の価格は上昇しているのに対し、サービスの価格は下落が続いています。 この背景には輸入物価の上昇があります。ロシアのウクライナ侵攻に伴う化石燃料や穀物などの一次産品価格上昇が食料やエネルギーの価格を押し上げているのです。
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永濱 利廣