“アジアのスター”ジェイ・チョウ(周杰倫)、16年ぶり来日公演にファン熱狂「16年、本当に長かったね。たくさん歌おう!」
アジアで絶大な人気を誇る台湾出身の歌手、ジェイ・チョウ(周杰倫)のツアー『カーニヴァル・ワールド・ツアー(嘉年華 世界巡迴演唱會)』が、4月6・7日の2日間、Kアリーナ横浜で行われた。同ツアーは、2019年10月17日、上海のメルセデス・ベンツ・アリーナから始まり、中国、東南アジア、オーストラリア、ヨーロッパを回り、日本へたどり着いた。ジェイ・チョウの来日公演は2008年2月の日本武道館公演以来、16年ぶりとなり、3時間を超すライブでファンを熱狂させた。 【写真】ゴージャスな演出、三味線演奏でも沸かせたジェイ・チョウ 中華圏音楽シーンのキングとして不動の地位を築いてきたジェイは、もともとは、テレビのソング・コンテスト番組に出場する友人の伴奏としてついて行ったところ、その才能が注目され、まずは作家として他のシンガーに曲を提供。そして、2000年にデビューアルバム『Jay』をリリースすると、瞬く間に中華圏全体で人気を博した。 ジェイの音楽はそれまでにない新しいものであり、バラードでは誰もがうっとりする美メロで聴かせ、中華圏のトップ・アーティストになった。そして、ジェイのすごさは映画界でも花開く。2005年には日本のコミックを実写化した映画『頭文字(イニシャル)D THE MOVIE』に主演、2007年には監督・脚本・主演・音楽を兼ねた『言えない秘密』を大ヒットさせ、その後は音楽の本業を行いながら、俳優としても大作に主演した。 16年ぶりの日本でのこのコンサートは、24年に及ぶキャリアの多様さ多彩さを見せてくれるものだった。多くの初期の曲も披露され、ピアノはもちろんのこと、ギター、古筝、なんと日本の三味線まで楽器を奏し、ダンスやトークでも魅了した。 1曲目は中華テイストの「黄金甲」。キラキラと輝く真っ赤な中華風建造物などが映り、メタリックの時代劇風衣装に身を包んだジェイがせり上がって登場すると、会場は大歓声に包まれた。次々と出てくる趣向を凝らした光と映像のマジックに、観客はただただ引き込まれていく。 観客を飽きさせない演出も続いた。ダンサーの肘から先だけが蛍光色に輝き、その手の動きだけでいろいろな形を作ったり、ゲームに出てくるような戦士のような大男が出て来たり、全身銀色、シルクハットも顔も銀色の宝石が光るダンサーがいたり。 ジェイ自身もアメリカのカントリー&ウェスタン的スーツでセミアコ・ギターを手に「牛仔很忙(カウボーイは忙しい)」を歌ったかと思うと、「Mojito」のサルサ風ダンス、バスケットボールを操りながらのダンスを披露。「簡単愛」ほか2曲では、ジェイがステージから降り、上手から下手まで最前列にいるオーディエンスの手にタッチをするなどのファンサービスでも沸かせた。 日本だけのスペシャルな演出もあった。「日本の皆さんこんにちは。僕を覚えていてくれた?日本のライブは16年ぶりだよ。前回の武道館に来た人いる?16年、本当に長かったね。だからたくさん歌おう!」と日本語を交ぜながらファンに呼びかけた。 「実際、日本で『忍者』などのミュージックビデオをたくさん撮影したんだ。五月天(MAYDAY)の阿信とのデュエット『説好不哭』も『Waiting For You』も。で、この『Waiting For You』が撮影された場所を知っていますか?代々木公園なんだ。この曲を聞きたい?」というと、客席のファンの熱い拍手に応えて歌唱した。 そして、「周大侠」では三味線奏者を6人従え、ジェイ自身も演奏するスペシャル演出も。この曲の後半ではラップが繰り広げられ、一気にジェイのヒップホップとなる。ジェイの音楽の新しさは、ヒップホップやR&Bを中華の伝統音楽と見事に融合させたことと言われるが、今回、日本の伝統音楽との融合を目の当たりにすることができた。 コンサート終盤の30分ほどは後輩たちと共に、リクエストコーナーを行った。「リクエストコーナー行くよ~」と言った後、まずは、この日観に来ていた台湾の俳優のチャンチェン(張震)にリクエストを募り、彼がリクエストした「龍捲風」をバンドもジェイも歌う。その後は、ステージ上手に行ったり下手に行ったりして7人ほどの観客からリクエストを受け、すぐにバンドと歌った。 ジェイたちに指され、リクエストしたファンたちは興奮し、ジェイに「落ち着いて、ゆっくりね」と優しく言われていたが、彼らがいかにジェイの曲を愛しているのかがわかるような会話も行われ、ジェイの音楽が多くの中華圏の人たちの人生に深く関わっていることが伝わってくる。 デビュー以来15枚のアルバムをリリースし、どのアルバムも高いセールスを記録してきた。日本では、来日記念盤として今回のライブの曲を多く収録した2枚組CD、その名も『CARNIVAL』がリリースされた。ライブを日本で行ったのは今回が3度目だったが、最高のヴィジュアルと最高の音楽で、“スーパースター”ジェイ・チョウの“カーニヴァル”を体験することができた2夜となった。