SIEタイトルを手掛けた開発会社をおさらい! 主要スタジオとその歴史を辿ってみよう【特集】
2020年11月12日にPlayStation5が発売してから、早いものでもう4年余りが経過しております。時の流れのなんと恐ろしきこと……。 【画像全7枚】 今回は、先日掲載した「任天堂タイトルの開発会社のおさらい」特集を踏襲しながら、PlayStationコンソールを支える開発会社たちについて掘り下げてみようと思います。アーロイやネイトの冒険は誰が作っているのでしょうか? そして彼らはどんな来歴を辿ってきたのでしょうか? 是非ともチェックしてみてください。 ●Santa Monica Studio(SIEサンタモニカスタジオ) 1999年、カリフォルニア州のサンタモニカで設立されたのが、後にSIEサンタモニカスタジオとなる開発スタジオです。地名に根差した名前で非常に覚えやすいですね。なお、このように社内組織化されたゲーム開発スタジオは「SIEワールドワイド・スタジオ」とも呼ばれます。 SIEサンタモニカスタジオは2005年発売の『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズの開発を担っています。リブートも併せて、クレイトスと19年の付き合いになるわけですね。あの気難しくてちょっと喧嘩っ早いオヤジのことを誰よりもわかっている人々が集まっていることでしょう。 また、WIRED.jpのYouTubeチャンネルにて、同スタジオに所属する効果音職人のジョアンナ・ファン氏の活躍も観ることができます。あらゆる道具を使い、スタジオを汚しまくりながら『ゴッド・オブ・ウォー』のド派手なSEを作りまくっている様はとても楽しそうです! 代表作: 『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズ ●Guerrilla Games(ゲリラ・ゲームズ) 2000年にオランダで設立されたゲーム会社ですが、元々は“Lost Boys Games”という名称でゲームボーイカラーやゲームボーイアドバンス向けのソフトを作っていたようです。しかし、2003年に『KILLZONE』を開発してから、当時のSCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)と独占販売契約を締結。以降はPlayStationと関係を築いていき、現在はソニーの子会社になっています。 しばらくは『KILLZONE』シリーズを着実に販売していきますが、やはり彼らの代表作と言えば2017年発売の『Horizon Zero Dawn』と、2022年発売の『Horizon Forbidden West』でしょう。PS4とPS5世代を代表するオープンワールドアクションゲームとして、もはやゲーマーのあいだでは常識と言えるタイトルです。 そんなゲリラ・ゲームスは「DECIMAエンジン」というゲームエンジンを開発していたのですが、小島秀夫監督が同スタジオを訪れた際、まだ何の契約も交わしていない段階であるにも関わらず、彼らは小島監督に「DECIMAエンジン」のソースコードを渡します。その心意気に感動したとして、小島監督は『DEATH STRANDING』に同エンジンを採用することを決めたそうです。イイ話~! 代表作:『KILLZONE』シリーズ、『Horizon』シリーズ ●Naughty Dog(ノーティドッグ) 「イタズラな犬」というユニークな名前のついたこちらの開発会社も、ソニーの子会社です。1985年と設立は古く、こちらもサンタモニカにスタジオがあります。 1996年から『クラッシュ・バンディクー』シリーズを作り始め、2001年にSCEが買収を発表。その年のうちに『ジャックxダクスター』シリーズを売り出していきます。 その後も2007年に『アンチャーテッド』シリーズを、2013年に『The Last of Us』シリーズを発表し、あらゆる賞を総なめにする非常に質の高いアクションゲームを作れる開発会社として、世界中から注目を浴びています。 なお、彼らが初期から手掛けていた『クラッシュ・バンディクー』シリーズは、紆余曲折の結果、現在は版権をアクティビジョン・ブリザードが保有しており、このアクティビジョン・ブリザードをマイクロソフトが買収したことによって、なんと今後はXboxハードで独占販売されることになりました。“プレステと言えばクラッシュ”というのが常識だった世代の筆者からすると「ライバル企業に版権が移るなんてそんなこと有り得るのか!?」というほどの驚きでした。 代表作:『クラッシュ・バンディクー』シリーズ ※『クラッシュ・バンディクー レーシング』(1999)まで、『ジャックxダクスター』シリーズ、『アンチャーテッド』シリーズ、『The Last of Us』シリーズ ●SIEベンドスタジオ アメリカはオレゴン州のベンドにて、1994年にEidetic(エデティック)という名前のゲーム開発会社としてスタートしますが、2000年にSCEによって買収されます。以降は(SCE)SIEベンドスタジオとなり、ソニーの内部組織として参画します。 『Syphon Filter』というTPSシリーズを作り続けていましたが、残念ながらすべて日本未発売であり、遊んだという人は少ないかと思われます。『アンチャーテッド』シリーズのスピンオフなども手掛けていましたが、何よりも彼らのキャリアで重要なのは、2019年発売の『Days Gone』でしょう。 ゾンビが蔓延るポストアポカリプス世界で、愛車のバイクと共に生き残るストーリーベースのオープンワールドゲームで、筆者も大好きな一本でしたが、残念ながら初動が芳しくなく、ディレクターが退社後に当時の状況を振り返っています。 しかし、まだ彼らのクリエイティブ魂は消えていないようです! 下記の記事の通り、どうやらビッグタイトルの求人を行っているそう……新生『Days Gone』のような作品が作られる日を、首を長くして待っていますよ! 代表作:『Syphon Filter』シリーズ(日本未発売)、『Days Gone』 ●インソムニアックゲームズ(Insomniac Games) 1994年、カリフォルニア州バーバンクに生まれたインソムニアックゲームズは「不眠症」という意味を持つそうです。ちょっと不気味ですが、名前を決めるまでに紆余曲折あったようで、「Ragnarok」「Black Sun」「Monument」などなど様々な案が出たのち、カート・ヴォネガットの著作「猫のゆりかご」をモチーフにした「Ice-9(アイス・ナイン)」という名称に決まりかけたのだとか。しかし同名の企業が既にあることから、名前を決めないといけない期限の約24時間前に「インソムニアックゲームズ」という名称に落ち着いたそうです。 彼らの初期の代表作としては、1998年発売の『スパイロ・ザ・ドラゴン』が挙げられるでしょう。当時山ほど出た3D箱庭探索アクションゲームの中でも高評価を受けた作品ですが、のちに版権がアクティビジョン・ブリザードに変わり、3作目が最後のインソムニアック製スパイロとなります。(というか、クラッシュもスパイロも今はXbox傘下なの!?) 『ラチェット&クランク』や『RESISTANCE』なども重要ですが、やはり彼らの代表作と言えば『Marvel’s Spider-Man』でしょう。NYの摩天楼を飛び回るスーパーヒーロー体験は、多くのユーザーを感動させましたよね。 代表作:『スパイロ』シリーズ(2000年の『Spyro: Year of the Dragon』まで)、『ラチェット&クランク』シリーズ、『RESISTANCE』シリーズ、『Marvel’s Spider-Man』シリーズ ●その他のSIE関係のスタジオ・子会社 ・Team Asobi 『ASTRO』シリーズを開発。『ASTRO’s PLAYROOM』は、PS5を買えば無料で付いてくるので、是非とも遊んでみてください。 ・サッカーパンチプロダクション(Sucker Punch Productions) 『INFAMOUS』シリーズや『怪盗スライ・クーパー』シリーズを開発。直近では『ゴースト・オブ・ツシマ』が有名でしょう。む、この鉢巻きはまさか……? ・ブルーポイントゲームズ(Bluepoint Games) 『ワンダと巨像』や『Demon’s Souls』などのSIE関係作品のリメイクやリマスターを手掛けるスタジオ。実は2006年に『ブラストファクター』という作品を出しており、オリジナル作品はこの一回のみのようです。 ・メディアモレキュール(Media Molecule) 『リトルビッグプラネット』シリーズや『Teraway』シリーズを開発。しかし『リトルビッグプラネット3』はSumo Digitalが開発しています。 ・ポリフォニー・デジタル(Polyphony Digital) 『グランツーリスモ』シリーズを開発。元々はSCEの企画制作部門でしたが、89年に子会社化しています。今回取り上げた中では、日本国内に拠点がある唯一のスタジオです。 ……と、ここまでソニーに関わってきた開発会社の歴史を紐解いてきましたが、探せば他にもまだまだあるでしょう。「あれも入れてくれ~!」とか「実はこんなスタジオが……」という具合に、思いついた会社やスタジオがありましたら、コメント欄にて是非とも教えていただけると幸いです!
Game*Spark 各務都心
【関連記事】
- 海外レビューハイスコア『ドラゴンズドグマ 2』―あまりに野暮ったい点があったとしても、これは名作だ
- リメイク版『ウィザードリィ:狂王の試練場』でFC版マップが遊べるように!ビジュアル改善や敵アニメ等も実装のアップデート配信
- 『幻想水滸伝』クリエイターの新作『百英雄伝』は懐かしさと現代らしさが合わさったゴージャスなRPG!やりごたえ抜群の戦闘も幅広い育成・編成の醍醐味も味わえる【特集】
- Game*Sparkレビュー:『FINAL FANTASY VII REBIRTH』―ファンでなくても楽しめる秀逸なクオリティだが、積み重なる“小さなストレス”も見逃せない
- Game*Sparkレビュー:『FINAL FANTASY VII REBIRTH』―すべてに全力投球する「ファンサの塊」のようなRPG