別府大名誉教授の飯沼さん古希記念、教え子らが文集発行 歴史研究の業績、半生も
歴史学者で別府大名誉教授の飯沼賢司さん(71)の古希を記念し、教え子らが文集「あぜみちにそよぐ風」を発行した。70年の軌跡や研究を振り返るとともに、50人以上が原稿を寄せた。刊行委員は「先生の歩みが分かるとともに関係者の思いが詰まった一冊になった」と話した。 飯沼さんは長野県安曇野市出身。1993年に別府大文学部助教授になり、文学部長を経て、2019年4月から22年3月まで学長を務めた。専門は日本古代中世史、荘園研究など。環境歴史学や九州学を提唱した。23年度の大分合同新聞文化賞を受賞している。 冊子はA4版で180ページ。飯沼さんが顧問を務めた同大学日本中世史研究室の卒業生らでつくる「あぜみち会」が企画した。 飯沼さんの経歴・業績・著書を紹介。水田地帯のそばで育った幼少期からの半生を自らつづった。特別寄稿では学生らとともに調査・研究のためあぜ道を歩いた日々、出会った人たち、研究者・教育者としての活動をまとめている。 歴史の研究を続ける教え子ら13人が県内外の歴史・文化を題材にした論考を掲載。飯沼さんとの交流、思い出などを41人と家族がエッセーとしてつづった。 飯沼さんは「ありがたいこと。70歳を迎え、新たな挑戦のためにこれまでの整理をしている。文集は猛烈に走り続けてきた人生を立ち止まって振り返る機会になった」と話した。 刊行委員の稙田誠さん(44)は「多くの人が寄稿してくれたのは先生の優しさ、熱き心に魅せられたからではないか」と語った。 冊子は県内の大半の公立図書館に寄贈している。希望者には1500円(税込み)で販売する。問い合わせは稙田さん(090-1167-7546)。