面白いことをみんなで 障害者支援に情熱、小堀真吾さん急逝
精神障害者の就労支援事業所を運営する「さざなみ会」(横浜市)の前理事長、小堀真吾さんが9月26日、くも膜下出血のため急逝した。52歳だった。 障害者の工賃アップ、居場所や出番づくりに情熱を注いだ。人の強みや弱みを察知する力は天才的。あの手この手で仲間に取り込む手腕は、まるで興行師のようだった。 掲げた旗印はピアサポート(仲間同士の助け合い)だ。さざなみ会は利用者を職員として雇い、ピアサポートの普及を図る「YPS横浜ピアスタッフ協会」を結成した。 YPSは法人外の障害者、その家族、支援者らも会員とし、一芸披露を柱としたピアまつりなどさまざまな集会を開催。参加者を元気にする力を持っていた。回復した人は数知れない。 YPSの事務局を任されていた双極性障害の野間慎太郎さんの場合、「格好つけていたら人は集まらないよ」という小堀さんの一言で自分の殻を破ることができたという。 生真面目な野間さんは「失敗も武器にできることを学んだ。今の私の土台になった」と感謝する。その一方で、文句もたくさんあるという。 「面白いことをみんなで」がモットーの小堀さんは、誰もが主役になれる自由な場を求めた。それを揺るがす人物だとみるや有能な仲間であってもYPSにそぐわないとみて遠ざけた。 野間さんもその一人で、不本意ながらYPSから離れた。YPSから派生した「神奈川精神医療人権センター(通称=KP)」も国会で取り上げられ有名になったが、やはり離れていった人は数知れない。 それでも小堀さんの葬儀には多くの〝離反者〟が参列した。純粋な人柄が好かれたからだろう。「みんなの前で小堀さんと大ゲンカしてノーサイドにしたかった」と野間さん。小堀さんが喜びそうな最高の賛辞だった。