ドローン複数機で長時間稼働 送電線+ホースと接続 福井県がシステム開発
福井県工業技術センター(福井市)は、ドローンに送電ケーブルと農薬を供給するホースをつないだ状態で、長時間飛行と大量散布を可能にするシステムを開発した。垂れ下がるケーブルとホースを後続の複数のドローンがつり上げることで、安定して散布できる。何度もバッテリーや農薬タンクを交換する必要がなく、省力化が期待できる。 【写真で見る】ドローンが連なっている実際の様子 一般的なドローンの飛行時間は20分。搭載できるタンクは10リットル程度で大きくても30リットルという。農家から大容量を一度に散布したいという声を受け、2022年度から開発を進めていた。 新システムはドローンに、地上に設置した大容量バッテリーからケーブルで電力を供給し、大型タンクからホースで薬液を送る。80分の連続飛行ができるバッテリーを使う。 市販の有線ドローンを改良し、散布ノズルを取り付けた他、ケーブルを細くして軽くするため、電圧を通常の50ボルトから400ボルトにした。散布は衛星利用測位システム(GPS)を使い自動で行う。
ケーブル⇒送電、ホース⇒送液
これまで行った試験では、ドローンにつなげたホースとケーブルを2機の後続ドローンが20メートル間隔で持ち上げた。ねじれや脱落などの不具合はなく、安定的な飛行ができた。バッテリーやタンクの大きさ、ホースの長さを変えれば、さらに長時間、大容量の散布も可能になるという。 今後改良を加え、数年後の製品化を目指す。機械・金属部の田中大樹主任研究員は「生産者の作業が少しでも楽になれば」としている。
日本農業新聞