アーチェリー・大井梨世 “素引き”だけの半年を乗り越えて
荘口:大井選手。試合前のルーティンは? 大井:寝る前に明日の試合をイメージすることです。良い想像だけをしています。 荘口:これまでで特に印象的だった大会や試合とは? 大井:中学2年の時に出場したナショナルチーム選考会です。全日本選手権の上位32名に入ったら、ナショナルチーム選考会に出場できるんですけど、そこで自己新記録を出して10位で予選を通過して、テレビで見るような憧れの選手たちと試合できたので記憶に残っています。五輪に出るようなすごい選手たちと。 荘口:こわ~っとかやば~っとか思わなかったですか? 大井:緊張で頭が真っ白でした。話しかけられるような雰囲気でもなく。後で映像を見たら、ちょっと強張った表情をしていました。 荘口:入寮してから半年ほどつらい時期があったとか? 大井:当時は距離が出ず矢を打つこともできなくて。一からフォームを作り直すために「素引き」をしていました。 荘口:野球でいう素振りですか? 大井:そうです。弓をただ引くだけの練習を半年間やっていました。本当にきつかったです。 荘口:私も入局後は仕事がなくて、半年間屋上で毎日ずっと発声練習をやっていたら、本当に辞めようかと思いました。 大井:先輩たちは矢を打っている中、自分は倉庫で一人で弓を引いていたので。その後初めて矢を打った時の感動は本当に忘れられないです。 荘口:最後に。ここだけは絶対負けない!というところは? 大井:絶対あきらめない最後までやり抜くところです。