寿司?天ぷら? 和食の何が文化遺産に登録されたの?
食文化としての「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。「和食が世界に知れ渡るようになるといいね!」。確かにそうなのですが、寿司や天ぷらといった個々の料理が遺産に登録されたわけではありません。一体、何が登録されたというのでしょうか? 和食文化の登録を進めてきた農林水産省の説明によると、「無形文化遺産」というのは、「芸能や伝統工芸技術などの形のない文化であって、土地の歴史や生活風習などと密接に関わっているもののこと」です。 今年11月に、韓国政府が「キムチとキムジャン文化」がユネスコの無形文化遺産に登録されると発表をして、ユネスコ本部が発表内容について異議を唱えるという騒ぎがありました。ユネスコに登録されるのは「キムチ」ではなくキムチを作る文化「キムジャン文化」だというのです。 遺産に登録されるのは、あくまで「文化」であって、「寿司」とか「天ぷら」とか「鯖の味噌煮」とか「キンキの煮付け」とか、料理そのものを指すものではないということですね。今回の遺産登録を説明するのに、新聞などで「食文化『和食』」とか「和食;日本人の伝統的な食文化」と文化を強調して表記されるのはそのためです。
無形文化遺産登録の申請にあたり、農林水産省がパンフレットを作成しています。ここで挙げている和食文化の特徴は4つあります。 (1)多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用 (2)バランスがよく、健康的な食生活 (3)自然の美しさの表現 (4)年中行事との関わり なるほど、海の幸、山の幸と呼ばれる多様な食材があって、しかも脂肪分が少ない。季節の花をさりげなく添えるおもてなしの心や、お正月やお花見などの年中行事と密接な関係を持って育まれた文化がすなわち「和食」というわけですね。 ちなみに、食文化の世界遺産としては、これまで「フランス美食術」、「メキシコの伝統料理」、トルコの伝統料理「ケシケク」、スペインやイタリアなどの地中海料理が登録されています。