<センバツ2022・ともに咲く>広陵・支える人 トレーナー 高岡外士さん 心身ケア、頼れる“先輩” /広島
◇高岡外士(がいし)さん(28) 「球を投げる時に負担がかかっているよ」。2月下旬、広陵グラウンドのホームベース後方の一室。練習後、中川将心(まさむね)選手(2年)の右腕をほぐしながらトレーニングの改善の仕方をアドバイスすると、中川選手が笑顔でうなずきながら聞き入った。施術が終わると、中川選手は「ありがとうございました」とお辞儀をし、寮に帰った。 硬式野球部のOBで、安佐南区で鍼灸(しんきゅう)接骨院を営みながら週1回グラウンドを訪れ、体のケアやリハビリを手伝っている。施術をしながら、選手たちとクラスでの出来事や趣味の話題に花を咲かせる。練習中の張り詰めた緊張感はそこにはない。「彼らが本音で話せる存在でありたい」と笑顔を見せる。 現役時代、自身も学校に来てくれていたトレーナーに捻挫などを治療してもらったことがあり「かっこいい」と憧れを抱いた。高校卒業後に専門学校に計6年通い、鍼灸師と柔道整復師の資格を取得し、開院した。 「後輩たちの役に立ちたい」と中井哲之監督へ志願して6年前から学校へ足を運び、後輩たちをサポートする。激しい練習で体を追い込みがちな選手たちに「ふとした体の違和感でも、我慢せず話してくれ」と先輩だからこそわかる目線で優しく語りかけている。 選手それぞれが異なる表現で訴える症状をかみ砕いて解釈することは、来院する様々な症状の患者との向き合い方にも生きていると感じる。「甲子園での試合にベストな状態で臨めるよう全力で支えたい」と力を込め、トレーニングする選手たちに温かいまなざしを向けた。【根本佳奈】 ◇ センバツでの活躍を願い、広陵・広島商の選手たちを支える人を紹介する。