世界のトップで活躍した選手たちの引退。日本女子テニスの未来は大丈夫か!?
■森田あゆみと土居美咲が引退して、一つの節目を迎える
2023年秋には、2010年代に女子プロテニスのワールドツアーやグランドスラムで活躍した森田あゆみと土居美咲が現役を引退し、日本女子テニス界にとって一つの節目となった。 森田あゆみは、33歳での現役引退の決断だった。15歳でプロに転向し、2010年代前半に、世界ランキング自己最高40位(2011年10月)を記録して、グランドスラムやWTAツアーで活躍した。また、女子国別対抗戦フェドカップ(現ビリー ジーン・キングカップ)の日本代表としてもプレーをし、オリンピックの舞台にも立った。キャリア後半では、右手首などのけがに泣かされて、なかなか思うようなプレーができなかった。だが、引退を決意した森田は、晴れやかな表情で次のステップを見据えている。 「確かにキャリア後半は大変なことが多かったですけど、それでも振り返ってみたら、すごい恵まれたテニス人生だったなと思います。本当に最後も自分が完全にやり切ったなって思えるところまでやらせてもらえたので、何も悔いはないです。すっきりしています。(今後は)今まで選手としてやっていたエネルギーを、コーチとして注いでいきたいなって思っています。世界で勝てるテニスを選手と一緒に考えて作っていきたい」 一方、土居美咲は、32歳での現役引退となった。 17歳でプロへ転向した土居は、2015年にWTAルクセンブルク大会で嬉しいツアー初優勝を獲得。2016年ウィンブルドンではベスト16に進出して、同年10月には、WTAランキング自己最高の30位を記録した。日本代表メンバーにも選ばれて、フェドカップ(現BJKカップ)やオリンピックでプレーをした。 2022年シーズン頃から腰の痛みに悩まされ自分の思うようなテニスができなくなって引退を決意。現役として最後の大会となった東レ パン・パシフィックオープン(9/25~10/1、予選9/23~24)では、予選ワイルドカードを得て本戦に勝ち上がり、さらに1回戦を勝利して、満面の笑顔で両手を広げてはしゃぐように喜んだ。 「出し切りましたね。こうやって最後の対戦でこんな素晴らしい選手と対戦できたっていうのは、自分としては、最後のご褒美というか、今まで頑張ってきたご褒美かなと思って、試合中、全力を出し切れることを楽しみながら試合していました」 引退後、森田も土居も、ジャパンウィメンズテニストップ50クラブ(以下JWT50)に新加入すると発表された。JWT50は、2022年6月20日に設立された一般社団法人で、テニスに携わる次世代が本気で世界を目指せるような環境づくりを目指すと同時に、テニス普及の面では、小中高校生へ向けて興味喚起を働きかけていく。入会資格は、WTAランキング50位以上の実績をもつ元プロテニスプレーヤーで、メンバーには、理事に伊達公子氏、杉山愛氏、神尾米氏、会員に浅越しのぶ氏、長塚京子氏、森上亜希子氏、小畑沙織氏、中村藍子氏、奈良くるみ氏が名を連ねている。 日本テニス界を変えるには、森田や土居のような若い力が必要で、今後の二人の活動にも注目していきたい。