米FRB、6月からバランスシート圧縮のペースを減速-市場に配慮
(ブルームバーグ): 米連邦公開市場委員会(FOMC)は1日、量的引き締め(QT)として知られるバランスシート圧縮のペースを6月から減速させると発表した。米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)のペースは現在、月間最大600億ドル(約9兆3000億円)相当だが、この上限を6月から250億ドルに減らす。短期市場金利への圧力の緩和などを図った措置だ。
住宅ローン担保証券(MBS)のランオフペースについては、現行の月間最大350億ドル相当を維持するとした。
市場関係者は米国債のランオフの上限が月300億ドルに引き下げられると予想していた。上限が予想より低く設定されたことは米国債の一般への発行規模がさらに小さくなることを意味するため、発表後の米国債上昇に寄与した。また、大方の予想通り金利が据え置かれ、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長がFOMCの次の動きが利上げとなる可能性は低いと述べたことも米国債を押し上げた。
パウエル議長は記者会見で、エージェンシー債の償還元本が現在月約150億ドルであることから、ポートフォリオのランオフ総額は月約400億ドルになるとした上で、「ランオフのペース減速を決めたからといって、バランスシートの最終的な圧縮幅が小さくなるわけではなく、最終的な水準により緩やかに近づけるということだ」と説明した。
FOMC、政策金利据え置き-インフレ沈静化の進展は失速
FRBは2022年6月からQTを進めてきた。米国債とMBSのランオフを徐々に増やし、合計のランオフは月950億ドルに達していた。
3月19、20両日に開かれた前回のFOMC会合議事要旨によると、大半の当局者はこのプロセスは順調に進んでいるとみているものの、前回、バランスシートの縮小を進めた19年に市場の混乱を招いたことから、さらなるランオフには慎重なアプローチで臨むことが適切だと「幅広く評価」していた。
市場参加者は当局者がFRBの7兆4000億ドルのポートフォリオをどこまで圧縮すれば、19年に見られたような懸念すべき亀裂が生じ始めるのか考えてきた。しかし今のところ、短期金融市場は安定しておりストレスもない。こうした状況を背景に金融当局は柔軟性をもって今後のQTの道筋を検討することができる。