ロシア軍、ウクライナ東部チャシウヤールに照準 守備隊は「戦車の罠」仕掛ける
「キルゾーン」にできる可能性もあるが、それには十分な弾薬が必要
フロンテリジェンス・インサイトは、ロシア軍の部隊はこの橋を渡るのに苦労するだろうと予想していた。「チャシウヤールとバフムートを結ぶ道路には、水路と交差する地点に橋が何本か架かっている。(ウクライナ側が)適切に対処し、正しくリソースを配分すれば、チャシウヤールは進撃してくるロシア軍部隊にとってかなり手強い障害になる可能性がある」と8日に書いている。 もっとも、ウクライナ側に必要なリソースが常にあるのかと言えば、そうとは限らない。言うまでもなく、米国からの軍事援助が、米議会下院のロシアに融和的な共和党議員らによって半年以上も阻まれているせいだ。 実際、ウクライナ軍の守備隊は10日にはイバニウシケ村の橋に多くの火力を向けることができたものの、4日にはロシア軍の突撃部隊がチャシウヤールの東の外れにある運河地区まで侵入してくるのを、傍観せざるを得なかった。弾薬が枯渇し、なすすべがなかったのだろう。 新たな弾薬が届いたとみられるチャシウヤールの守備隊は、ロシア軍部隊が引き続き、この橋を含む、ミサイルやドローン、大砲のキルゾーン(撃破地帯)を通り抜けようとしてくれることを望んでいるに違いない。それを試みるたびに、ロシア側は装甲車両を1両か2両は失うことになるからだ。 ウクライナ側は、この橋を落として、南側からチャシウヤールに入る主要な経路を遮断するという手も試みている。もちろん、それは言うほど簡単ではない。この橋は破壊する目標としては小さいうえに、頑丈に造られてもいるようだからだ。 橋の中央には、ウクライナ軍が以前に行った砲撃でできたらしい穴がある。今月2日ごろ、ウクライナ側の創意ある兵士らは、遠隔操作する小さな自爆型の無人地上車両をこの穴に転がり落とし、起爆した。 残念ながら、この爆破で橋は落ちなかった。ただ、橋がおおむね使える状態で残ったおかげで、ロシア側にとって危険な隘路として立ちはだかる格好になっている。
David Axe