県民のもやもやは晴れない…追及されない鹿児島県警の隠ぺい疑惑、司法も県議会も本質から目をそらすのか
トイレに侵入して複数回女性を盗撮したとして、性的姿態撮影処罰法違反(撮影)などの罪に問われた元枕崎署の巡査部長の男(33)=鹿児島市西谷山4丁目=の判決公判が10日、鹿児島地裁であり、川口洋平裁判官は懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。事件は、野川明輝本部長が隠蔽(いんぺい)を指示したと元県警幹部が主張している一つだが、審理を通して言及はなかった。 【関連】〈詳報=盗撮の元警官に有罪判決〉前幹部が指摘した「本部長の事件隠蔽」疑惑、触れぬまま 鹿児島地裁
◇解説 盗撮の罪に問われた元枕崎署員の裁判は、元県警幹部が訴える野川明輝本部長による隠蔽疑惑の解明につながらなかった。検察側、弁護側ともに事実関係を明らかにしようとせず、司法は言及しなかった。裁判の手続きは適正だが、社会が注目する疑問は追及されずじまいだ。 公判では、被告の供述などが事実解明の糸口になるかどうかが焦点だった。枕崎署は、盗撮の疑いがあった被告を含む全署員に盗撮などをテーマにした教養(研修)を実施。県警によると、被告は約4年で少なくとも80回盗撮しているが、教養後は一度もない。この点について公判では一切触れられず、犯行への影響は不明のままだ。南日本新聞は判決前の取材で、犯行をやめた理由を繰り返し問いかけたが無言を貫いた。 一連の不祥事を巡り、真相を解明する場として期待された県議会の調査特別委員会(百条委員会)も設置の見通しは立っていない。司法、議会ともに本質を問う積極的な判断を避けていると捉えられかねない。
盗撮事件の背後に隠蔽の指示があったのかどうかについて、今後開かれる元幹部の裁判で審理されるかは不透明だ。司法が踏み込まなければ、県民が県警の不祥事と向き合う機会を奪われる。
南日本新聞 | 鹿児島
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