富士通レッドウェーブを変えた『女王の経験値』、宮澤夕貴&林咲希「このチームを信じている」
「全員でこのチームを作り上げていくということにフォーカス」
宮澤、中村と同様にENEOSの黄金期を築き、日本代表でキャプテンを務める林は、今シーズンより富士通に加入。持ち前のコミュニケーション力で恩塚亨日本代表ヘッドコーチと選手たちを繋ぎ、チームの結束を作った林は、富士通でもチーム作りにおいて重要な役割を果たした。 「アース(宮澤)さんとニニ(中村)がすでにいてくれましたが、やっぱり雰囲気をもうちょっと良くできるのかなって最初は正直思いました。私はそういうのが得意というかできると思ったので、まず私がサポートできるのはそこかなと思いました。あとは自主練の仕方だったり、そういうところも若い子たちに伝えてきてはいたので、少しは貢献できたと思います。コート内でもやっぱり私が1番良い顔をして、良いパフォーマンスができるようにと心がけていたので、私自身も成長できましたし、みんなもすごい成長してくれました」 林の声掛けを含むふるまいは間違いなくチームに変化をもたらした。実際に宮澤も林の存在によって『個』から『集』へとチームが変貌を遂げたと実感したという。「今年は林が入ってきてくれて、さらにそうやって言うことで、みんなも『やらなきゃいけない』って変わっていきました。本当に全員でという感じになったのが今年だったなって。誰が良くて誰がダメじゃなく、チーム全員でこのチームを作り上げていくというところをすごいフォーカスしてやってきて、それが今年は変わったと思います」 林はファイナルの3試合で平均14.0得点、3.0アシストを記録。3ポイントシュート成功率も42.8%と高水準で、日本代表のエースシューターとしての実力を発揮したが、長距離砲を警戒する相手に対してカウンターでのドライブが非常に効果的だった。林のプレーはデンソーに的を絞らせないことへ繋がったが、こうしたオールラウンドなプレーは林自身の成長の産物で、宮澤と同様に移籍でプレーの幅を広げた。 「アシスタントコーチがいろいろなスキルを教えてくれました。今までもやっていたんですけど、ENEOSではスリーだけという形で、富士通になったらハンドラーもしなきゃいけないと言われました。最初はあまりできていなかったですが、やっていくうちに自分でも感覚をつかめてきました。試合を重ねていくうちに、アース(宮澤)さんとかテミ(ジョシュア ンフォンノボン テミトペ)とのピックも増えて、ここはこうだったよねっていう話も増えて、少しずつコミュニケーションも多くなっていきました。自信を持って、このプレーオフに臨めたと思います」 こう語った林に、テーブスヘッドコーチは「キキ、オールラウンダーになったよ。ピックハンドラーね、本当に素晴らしい」と声をかけた。 ENEOSで培った経験値が富士通の16年ぶりの優勝の背中を押したことは間違いない。だが、それだけではなく、宮澤や林が成長を止めなかったことがデンソーを上回る要因の一つとなったことも事実だ。
バスケット・カウント編集部
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