<トイ・ストーリー2>米公開25周年 ウッディ&バズの成長をテーマにおもちゃたちの感情を通して大切なことを再認識させてくれる感動作
ディズニー&ピクサーの才能あふれるクリエーターたちが誕生させた世界初の長編フルCGアニメーション「トイ・ストーリー」(1996年)シリーズの第2弾として、1999年にアメリカで劇場公開された長編アニメーション「トイ・ストーリー2」が、11月24日に公開25周年を迎えた。第2弾では主人公ウッディの成長をテーマに、“おもちゃ”の彼らが持つ感情をより濃く描いており、第3弾で描かれたウッディと持ち主の少年・アンディとの別れの物語にも通ずる大事な部分を丁寧に表現している。また、2022年にはウッディの相棒バズ・ライトイヤーの誕生秘話を描いたスピンオフ映画「バズ・ライトイヤー」も公開され、大きな話題となった。今回は現在も多くの人から愛され続ける「トイ・ストーリー」シリーズに触れながら、「トイ・ストーリー2」の魅力を解説する。 【写真】傲慢で鼻につくヤツから、愛されキャラに…「トイ・ストーリー2」のバズ・ライトイヤー ■世界初の快挙を達成したユーモアあふれる人気アニメーション 現在全4作まで公開されている「トイ・ストーリー」シリーズは、少年アンディが大切にしているおもちゃたちの冒険を描いた物語で、カウボーイハットがチャームポイントのウッディやスペースレンジャーのバズ・ライトイヤーを中心とした個性的なキャラクターたちが、子ども部屋や外の世界へ飛び出していく姿をフルCGで表現したアニメーション作品だ。 第1弾ではアンディが新しく手に入れたバズ・ライトイヤーがウッディたちの仲間に加わる様子が描かれるのだが、この時彼は自分が本物のスペースレンジャーだと信じていたが故に独りよがりな態度を取っていた。そんなバズ・ライトイヤーは自分がただのおもちゃに過ぎないことを知り、ショックを受けつつも自分のことを救ってくれた後の相棒ウッディやその仲間たちと一緒に新たな冒険を始めるところまでが描かれている。 おもちゃたちが子ども部屋で動き出すというユーモアあふれる発想力をフルCGで描き、おもちゃのキャラクター目線の世界感を表現した同作は、当時画期的でありアニメーションの新しい可能性を世に示した。そして公開当初から高い評価を受けた同作は、「第68回アカデミー賞」の特別賞(ジョン・ラセター)を受賞し、まさにピクサーの原点といえる作品として君臨している。 そんな大ヒット作「トイ・ストーリー」の続編として製作された「トイ・ストーリー2」は、前作で描かれたウッディたちのその後の世界をしっかりと映したストーリー構成となっており、まるで人間のような繊細な感情を持っている彼らの心の動きもリアルに表現された秀逸さが際立つものに。 ■おもちゃ目線で伝える物を大切にする心 「トイ・ストーリー2」はひょんなことからウッディが、おもちゃ店の経営者アル・マクウィギンに誘拐されてしまい、彼を助けるためにバズ・ライトイヤーを筆頭に仲間たちが救出に向かう冒険が描かれた。前作では傲慢な態度が目立ったバズだったが、今作では仲間のために自己犠牲をいとわない真のヒーローとしての姿を見せるなど、彼は大きく成長を遂げている。 一方でウッディは、誘拐先のおもちゃ店で自分の出生の秘密を知り、またそこで出会ったカウガールのジェシーの過去を聞いたことで、おもちゃとしての自分の未来に不安を感じ、捨てられてしまう恐怖と向き合うことになる。人間の世界にあるおもちゃたちの存在意義を前作以上に彼らの目線で紡いだストーリーには多くのメッセージが込められており、世界中の人から共感を呼んだ。特にかつては誰もが子どもだった頃、自分にとってのおもちゃはただの物ではなく、そこには自分との思い出や絆があったという大切なことを心に再認識させてくれたのだろう。 第1弾の延長線上にありながらも、おもちゃとして生まれた彼らの人生をより深く、そして丁寧に描かれた第2弾には次回作への伏線も多くちりばめられており、シリーズ全体の展開やつながりに重要な役割を果たした。 また、2026年6月19日には映画「トイ・ストーリー5(原題)」の全米公開も予定されている。バズ、ウッディ、ジェシー、そしておなじみの仲間たちはついに電子機器と対決するという。それに備えるのは少し気が早いかもしれないが、これを機に「トイ・ストーリー」シリーズで味わえる感動を今一度体感してみては? 「トイ・ストーリー」シリーズ及び関連作はディズニープラスで配信中。 ◆文=suzuki