【冬の薬膳】牡蠣やラム肉も!「体を温める食材」「腎をいたわる食材」を知って、寒ーい冬を乗り切ろう
とにかく長かった今年の夏ですが、短い秋のあとには急に気温が下がり、ぐっと冬らしくなってきました。寒さへの備えができていないままに冬になった!と感じている人も多いと思います。 風邪や冷えが気になる時期ですが、薬膳の考え方を活かせば、選ぶ食材や食べ方によって体調を整える手助けをすることができます。管理栄養士・薬膳コーディネーターの宮崎奈津季さんに、冬の体調管理のコツを教えてもらいました。 【画像6枚】体調改善のヒントになる「食べ物・薬膳の考え方」を画像でチェックする!うまく取り入れてこの冬を乗り切ろう!
冬の体調改善のヒントになる薬膳
こんにちは、管理栄養士・薬膳コーディネーターの宮崎奈津季です。 寒い冬は、風邪をひきやすかったり、手足の冷えや肌の乾燥が気になったりします。薬膳の考え方を取り入れることで、冬の体をいたわるヒントをお伝えします。 ♦︎体を温める食材ってどんなもの? 薬膳の考えの一つに、「五性」があります。これは、食材が体に入った時の働き方による分類方法で、体を温める性質があるものは、「熱性」と「温性」の2つがあります。 「熱性」の食品は、体を温めることで気の巡りをよくしてくれます。血行促進や冷えからくる痛みを止める働きもあります。おすすめの食材は、ラム肉、とうがらし、シナモン、からし、山椒などです。 「温性」の食品は、冷えや寒さを取り除いてくれたり、気や血液の流れをよくしたりしてくれます。寒さからくる疲れや食欲不振をいたわる働きもあります。おすすめの食材は、にら、ねぎ、くるみ、ナツメグ、きんかんなどです。 ♦︎避けたい食材 とにかく冷えには注意したいので、冷たい飲み物や食べ物をとることは控えましょう。生ものなども避けた方がベターです。もちろん、とってはいけないということではなく、続けてとらないようにしたり、冷たいものを口にしたら次は温かいものを口にしたりするなど、ご自身の体調をみながら調整できるとよいですね。
中医学における「冬」とは?
中医学では、病気を引き起こす原因を「邪気」、自然界にある邪気が侵入し、病気の原因となっていることを「外因」と呼びます。よく見られる外因の邪気は6つあり、これを「六淫(りくいん)」と呼んでいます。 この邪気の中で、冬は「寒邪(かんじゃ)」が襲来する季節。体が冷えている状態を指していて、足腰やお腹が冷えたり、下痢を起こしたりする症状がみられます。これらの症状は体を温めると軽減させることができます。物理的に体を冷やさないことや、意識して体を温める食材を普段の食事に取り入れることに気を付けていきましょう。 ♦︎冬は「腎」との関係に注目! 中医学では、人の臓器を「肝・心・脾・肺・腎」の「五臓」に分けています。中でも「腎」は冬との関係が深く、ホルモンの分泌を中心とし、人の成長や老化に密接に関係していると考えられています。 体が冷えると、「腎」の働きが弱くなってしまい、体力の衰えや老化の進行につながるとも言われているので、注意したいものです。 ※中医学での「五臓」は、西洋医学での臓器を直接指すものではありません。例えば「肝」=「肝臓」というわけではない点に注意してください。 ♦︎腎をいたわる食材を意識してみよう 腎の働きを補うのにおすすめの食材は、鹹味(かんみ)を持つ食材です。鹹味とは、薬膳における「五味」の一つで、塩味ともいわれます。かたいものをやわらかくしたり、排泄を促したりする働きがあり、腎をいたわってくれます。 おすすめの食材は、たら、たい、牡蠣、たらこ、ぶりなどです。調味料では、塩やしょうゆが当てはまります。 ただし、とりすぎるとむくみがひどくなって、腎に負担をかけてしまうこともあるので注意しましょう。 寒い冬は、外から冷やさないことはもちろん、体の内側から温めるのも重要な季節です。適度に体を動かし、食事のバランスを意識しながらしっかり食べましょう。 冬に旬を迎える食材は、この季節に弱まってしまう「腎」の働きを助けてくれます。旬の食材をたっぷり取り入れて、寒さに負けない体を作っていきましょう! 【参考文献】 ・飯田薫子、寺本あい「一生役立つ きちんとわかる栄養学」西東社(2019) ・東邦大学医学部東洋医学研究室「薬膳と漢方の食材小事典」日本文芸社(2019)
宮崎 奈津季
管理栄養士・薬膳コーディネーター。介護食品メーカーで営業を2年間従事した後、フリーランスの管理栄養士に。料理動画撮影やレシピ開発、商品開発、ダイエットアプリの監修、栄養価計算などの経験あり。 現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。 HP:https://www.mnatsuki.com/ X:https://twitter.com/NatsukiMiyazak1 ※「崎」は正式には立つ崎(たつさき)です
宮崎 奈津季