静岡県内の人口減少地域 投票所の統廃合相次ぐ【静岡県知事選】
静岡県内の人口減少が進む地域で、選挙の当日投票所を統廃合する自治体が相次いでいる。26日投開票の知事選では2021年の前回選から9カ所減り、沼津市は旧戸田村の地域にあった2投票所を廃止した。市選挙管理委員会は住民の投票機会を確保するため、20日から従前の投票所を1日ずつ巡る移動式の期日前投票所を設けた。投票所のなくなった地区の自治会長は「投票機会の喪失につながる話。何度も話し合いを重ね、この形になった」と地域として苦渋の決断だったと語る。 沼津市選管は今年2月、有権者が50人を切る2投票所の廃止を決め、今回の知事選から適用した。いずれも統合先の投票所へは車で10~15分ほどかかり、不便を強いられる。その一つ、有権者が46人の井田地区には20日、これまで投票所だった井田集会所に2時間限りの期日前投票所が開かれた。 投票開始の午前9時。1階の食品加工場に設けられた投票所に製塩所を営む奥田隆子さん(80)が一番乗りで歩いて訪れた。「同じところで投票できて助かる」と、慣れない様子で宣誓書に住所や氏名を記入。市職員は管理システムをつなぐ専用回線がないため、選挙人名簿の番号をシステムのある市役所に携帯電話で尋ね、二重投票でないか確認した。奥田さんは「過疎化の地域を助けてくれる候補に」と一票を投じた。投票した有権者は地区外の2人を含め22人。地区の4割を超える人が利用した。 自身も期日前投票した井田自治会の天野喜一朗会長(55)は「平日も投票しやすい高齢者や自営業者が多い地域だったから、多くの住民に受け入れてもらえた」と考える。投票所運営では、必ず2人必要な投票立会人のなり手も減ってきていた。「投票できる環境を確保しながら、地域性に合わせた投票所を考えることも必要では」と訴える。 県選管によると、今回知事選の県内の当日投票所は1147カ所。川勝平太前知事が初当選した09年の知事選から40カ所減少した。当日投票所が廃止された地区を移動・巡回する期日前投票所は今回の知事選で他に静岡、浜松、伊豆、伊豆の国の各市と南伊豆町でも実施。熱海市でも投票所が遠い団地の2カ所で、バスを使った移動期日前投票所を開設した。
静岡新聞社