桐竹勘十郎、「艶容女舞衣」でお園の悲哀を表現 国立劇場主催「令和6年2月文楽公演」スタート
「令和6年2月文楽公演」が、去る2月5日に東京・日本青年館ホールで開幕した。 これは、現在建て替えのために閉場中の東京・国立劇場が主催する公演。日本青年館ホールで文楽公演が行われるのは、今回が初めてで、舞台上手側には床と盆が設置された。第1部では、吉田玉翔と桐竹紋吉が人形を遣う舞踊「二人三番叟」、そして「仮名手本忠臣蔵」より、早野勘平の悲劇が展開する「山崎街道出合いの段」「二つ玉の段」「身売りの段」「早野勘平腹切の段」が披露される。「仮名手本忠臣蔵」では、吉田玉助が勘平の人形を遣い、「早野勘平腹切の段」では豊竹呂太夫が語りを、鶴澤清介が三味線を担った。 【画像】「令和6年2月文楽公演」チラシ 第2部「艶容女舞衣」の「酒屋の段」では、人殺しとなった半七を巡る、家族の物語が描かれる。夫・半七を思うお園の人形を桐竹勘十郎が遣い、お園の述懐のシーンからは、豊竹呂勢太夫が語り、鶴澤清治が三味線を担当し、夫に見捨てられたお園の悲哀を人形の動き・太夫の語り・三味線の音色で表現した。また第2部では、華やかな舞踊「戻駕色相肩」より「廓噺の段」が、人形遣いの吉田玉佳、吉田玉勢、吉田一輔により上演された。 第3部の「五条橋」では、吉田簑太郎が弁慶、吉田玉誉が牛若丸の人形を遣う。続く「双蝶々曲輪日記」では、力士・濡髪長五郎が、恩人の息子である山崎与五郎を救おうと悪人たちを殺す「難波裏喧嘩の段」、お尋ね者となった濡髪とその家族らの情と義理を描いた「八幡里引窓の段」が展開。「引窓」では、濡髪の人形を吉田玉志、女房お早の人形を吉田勘彌、そして長五郎母の人形を吉田和生、南方十次兵衛の人形を吉田玉男が遣い、切場を竹本千歳太夫と豊澤富助が担当した。公演は2月13日まで。 ■ 「令和6年2月文楽公演」 2024年2月5日(月)~13日(火) 東京都 日本青年館ホール □ 第1部 「二人三番叟」 「仮名手本忠臣蔵」山崎街道出合いの段、二つ玉の段、身売りの段、早野勘平腹切の段 □ 第2部 「艶容女舞衣」酒屋の段 「戻駕色相肩」廓噺の段 □ 第3部 「五条橋」 「双蝶々曲輪日記」難波裏喧嘩の段、八幡里引窓の段