つらい膝の痛みの原因は座り方に? 温めてもマッサージしても治らない膝痛のためにほぐすべき意外な部位
先日、久しぶりに旅行に行き、ハイキングを楽しんだら、次の日からどうも膝の調子が悪い……。膝を曲げ伸ばしや正座がつらく、とりあえず温めようと温湿布を貼ったりマッサージをしてみたりしたが、あまり改善の兆しがない。ありがちだけど、けっこうつらい膝痛の原因やセルフケアについてGENRYU 綜合整体 院長の安部元隆先生が解説する。 【画像】膝痛の原因のひとつ、伏在神経
膝痛は伏在神経の圧迫によって引き起こされる
膝痛の原因は、加齢により膝の軟骨がすり減って膝関節が変形してしまう「変形性膝関節症」、膝関節のクッションの役割をしている半月板が傷んだり、亀裂が入ったりすることで痛みがあらわれる「半月板損傷」、膝関節の内側に炎症や痛みが生じる「鵞足炎(がぞくえん)」などがあげられますが、他にも、筋膜の癒着や靭帯の拘縮などが原因になっている場合があります。 一方、最近よく話題にあがるようになってきたのが、伏在(ふくざい)神経が圧迫されて、膝の痛みの原因になっているケース。 この場合、膝の周りを温めたり筋肉をマッサージしたりしても、あまり痛みの改善がみられません。 伏在神経とは太ももの内側中央から脛の内側にかけて位置していて、膝関節内側から脛の内側周辺までの感覚を司る神経線維で、主に膝関節の安定性やバランスに重要な役割を果たしていると言われています。 この伏在神経はその走行上、筋肉による圧迫を受けやすい場所を通っています。具体的には、太ももの中央内側にある筋肉の長内転筋(ちょうないてんきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、縫工筋(ほうこうきん)、大内転筋(だいないてんきん)に囲まれた筋性のトンネル「ハンター管」を通ります。これらの内ももの筋肉が固くなってしまうと、「ハンター管」内で伏在神経が圧迫されてしまい、「ハンター管症候群」と呼ばれる膝の痛みやしびれを伴う、膝痛を引き起こしてしまいます。 他に伏在神経に障害をきたす問題として、「仙骨の硬さ」があげられます。
仙骨が硬いと膝痛の原因になる
仙骨は骨盤の中心に位置していて、背骨の一番下にあります。仙骨には上半身と下半身をつなぐ役割があり、仙骨と腸骨で構成される仙腸関節によって、さまざまな動きを行うことができます。 ここが硬くなると、股関節の動きが悪くなり、太ももの外側の筋肉を過剰に使用してしまうケースが多くみられます。 その結果、膝は外側にねじれてしまい、伏在神経やその周りの組織は常に伸ばされた状態、いわゆる伸長圧がかかってしまい、膝に痛みを感じるようになるのです。 では、なぜ仙骨が固まってしまうのか? これは座っているときの姿勢が主な原因といわれています。 椅子に腰かけるとき、背もたれにだらりともたれかかって、骨盤が後ろに倒れている座り方をしていませんか? これは「仙骨座り」と呼ばれていて長時間のデスクワークやスマホを見ているときに、よく見られる姿勢です。 また、女性に多いですが「横すわり」を繰り返したり、「脚を組む」姿勢を常に行っていたりすると、片方の仙骨に負荷がかかりすぎてしまいます。 こういった座り方をしていると仙骨が硬くなり、膝痛の原因になるのです。 膝痛はもちろん、加齢や運動不足による筋肉の低下、急激な体重増加によって膝の負担が大きくなる、また運動しすぎて膝を使い過ぎしまうことなども主な原因と言われていますが、ふだんの何気ない座り方が膝痛の原因にもなっているのです。