65歳以上が32%、老朽インフラ整備に2兆円…数字で見る東京都の課題
■財政問題
そうなると、次に問題となるのが「財政負担」です。 東京都は47都道府県のなかで一番税収が多く、とりわけ大企業の本社が集中しているため、法人事業税と法人住民税の法人2税の税収が突出しています。とはいえ、企業からの税金の割合が高いので景気の影響を受けやすく、会社の業績いかんで税収も大きく増減します。また、政府は近年、税収の多い大都市の地方税を国税化する動きを強めていて、08年度には都の法人事業税が一部国税化され、約8000億円の税収減となりました。政府は2014年度の税制改正大綱で、この春の消費増税に伴い、法人住民税の一部を国税化、地方交付税にあてることを盛り込みました。この税制改正によって、東京都の税収は今年度の7774億円から1000億円以上減る見通しです。 しかも、高齢化によって東京都の財政支出は今後さらに膨らみます。いまの社会保障を維持すると、都の財政負担は今後25年間で2倍以上となるといわれ、2025年には高齢者施設や介護給付で年間2750億円支出が増えるという試算もあります。この税収減と財政負担の拡大をどうするかというのも、都の重要な課題です。
■防災・インフラ
もっとも、財政負担が増えるとしても防災対策やインフラ整備をしないわけにはいきません。道路や橋、水道、下水道、学校、公営住宅といった東京のインフラ整備は1960~70年代に始まったものなので、今後急速に老朽化していくことになります。そうした下水道管や橋などのインフラ整備の更新には2兆円以上かかるといわれています。しかも、昨年末、国の有識者会議は首都直下型地震について「30年以内に70%の確率で発生」「最悪の場合、死者2万3000人、経済被害約95兆円」と想定しました。 東京23区の東部には、地盤が弱く木造住宅が密集する地域が多く、東京都都市整備局では、足立区や荒川区の木造住宅密集地区を5段階の危険ランクのうちで一番危険度の高い「5」と評価。大田区南部なども危険度「4」としています。防災・減災対策対策をどう進めていくかも次の都知事の大きな役割です。 東京都が抱える課題は山積みです。こうしたなかで、多くの問題と向き合い、首都を引っ張っていけるのは誰なのか、有権者は真剣に考える必要があるでしょう。 (真屋キヨシ/清談社)