ブラジルで活躍する日系企業の今 (22) 歯科医自ら営業して業績伸ばす松風デンタルブラジル社
世界の20%の歯科医を有するブラジル
「ブラジルには世界全体の20%の歯科医が存在し、その60%がサンパウロ州、その半数が州都に集中している。世界の歯科業界において、ブラジルは大きなポテンシャルを秘めている」と説明する原島氏。一方で、国土が広く地域格差や所得格差なども大きいため、ビジネスも画一的ではなく独創性と臨機応変さが求められる。 現在、松風は台湾とドバイ支店の他に、1971年に海外販売拠点の第一号が設立された米国他、ドイツ、シンガポールなどでも販路を拡大し、欧州やアジアの国々でも研究開発や生産が行われている。「他国に比べれば同社はまだ産声を上げたばかり」と言う原島氏だが、営業先では大きな手ごたえを感じている。
バイオアクティブで治療後も改善が続く
松風は1970年代からブラジルでもディーラーを通して義歯材料が販売されてきたため、既にブラジルの歯科医の中では「安心と信頼のブランド」として認知されている。これまでも営業先で会社の説明をするのに時間はかからなかった。 今、同社の製品で最も注目されているのが、マルチイオンによるバイオアクティブ素材を用いた歯科関連製品だ。バイオアクティブの3大特長は、治療部の周囲の歯質に対する「細菌が産生する酸の攻撃を防御」「エナメル質の脱灰を抑制して歯質を強化」「治療部の細菌付着とプラーク形成を抑制」となっている。また、口腔内にイオンが広がることで恒常的に歯の表面がつるつるになり、歯茎の腫れも収まる効果がある。 松風の製品は、原島氏も関わるブラジル国内の社会的に脆弱な人々に対するボランティア医療や大学の研究サポートなどにも納められている。 「歯科医は職人なので、一度使用すれば100%良いと分かってくれる。患者様の口腔状態を改善し、体全体の健康を守りたい歯科医の皆様にぜひご使用いただきたいです」と、製品へのゆるぎない自信をのぞかせた。(取材/大浦智子)
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