そろって右手親指で能登半島ポーズをつくり笑顔の吉岡（左）と蓮佛。まつとおねのように親友同士にも姉妹にも見えた＝東京・渋谷区駒場（撮影・長尾みなみ）

女優、吉岡里帆（31）と蓮佛美沙子（33）が30日、東京都内で行われた2人芝居「まつとおね」（脚本・小松江里子、演出・中村歌昇）の発表会見に出席した。来年3月5～23日に石川・能登演劇堂で「令和6年能登半島地震復興祈念公演」と銘打ち上演される。2人は元日の地震と9月の豪雨に見舞われた被災地の人々に寄り添い、「希望や元気を届けて、復興ののろしを上げたい」と声をそろえた。 レトロな雰囲気が漂う旧前田家本邸洋館に、吉岡は白、蓮佛は黒と対照的な衣装で現れた。 前田利家の正室、まつ（吉岡）と豊臣秀吉の正室、おね（蓮佛）が夫の死後、戦乱の世を終わらせようと尽力した姿を描く物語にちなみ、利家の子孫が邸宅にした建物が会見場となった。 2人がまず発したのは「被災地で上演していいのか」という葛藤だった。吉岡は9月中旬に能登演劇堂のある七尾市を訪れ、「現地の皆さんにお会いしたとき『すごくうれしいし、楽しみ』と言ってくださった。そのときの笑顔が忘れられない」と歓迎を受けた。 七尾にも思いをはせ、「お祭りがたくさんあって日本で一番大きな神輿が印象的で街が魅力的。（全国から）観光に来てもらえるよう（演劇で）復興ののろしを上げたい」と熱く語った。 過去にボランティアに従事した人や被災経験者に話を聞いた蓮佛も「エンターテインメントの力で救われたと言われ、能登に希望を届けてほしいと託された」と紹介し、「作品を通して寄り添っていきたい」と被災地に呼びかけた。 同じ思いを口にした2人はポスター撮りで初対面。第一印象を蓮佛は「お花のようなかれんさがあって、まつ役にぴったり。稽古を通じてもっと仲良くなりたい」。その言葉に吉岡は「照れます。レンちゃんって呼んでいいよと声をかけていただいて。愛らしさと強さ、包容力を兼ね備えている。必ずいい公演になると確信しました」とすっかり意気投合。記念撮影では、そろって親指で能登半島をつくるポーズで笑顔を見せた。 上演会場の能登演劇堂は俳優、仲代達矢（91）率いる無名塾と七尾市の交流で誕生した、自然と舞台が一体化した美しい演劇専門ホール。震災で甚大な被害を受けたが、上演に間に合うよう修復作業が急ピッチで行われている。2人の熱演が能登の復興を加速させる。