農家に聞いた 今年の漢字は「暑」 作物にも打撃
日本農業新聞「農家の特報班」のアンケートで「今年の農業」を表す漢字を聞いたところ、「暑」が68票で最多だった。農業への影響が大きかった今夏の記録的な猛暑を受け、全体の3割超の票を獲得。「熱」も3位(9票)に入った。2位は資材高騰や高温から「高」(16票)だった。 アンケートは本紙や「農家の特報班」のLINEで告知し、12~19日にインターネットで実施。216件の回答があった。「暑」は日本漢字能力検定協会の「今年の漢字」では2位だったが、農業版ではダントツだった。 「暑さで花も人も参った」(東京・花農家の50代男性)「高温障害で米の等級が経験のない数値だった」(新潟・兼業農家の70代男性)など、「暑」には幅広い品目・地域の農家から票が集まった。北海道の畑作物農家の男性(34)も高温障害で豆類が減収。「就農12年で初めて。北海道でも暑さに強い品種が必要になるとは」と話す。 やはり「暑」を選んだ山形県の果樹農家の男性(66)は8月、草刈り中に熱中症になった。翌朝から目まいがし、今も軽い後遺症があるという。「水を飲むのを忘れていたかもしれない」と悔やむ。 2位の「高」と答えた、栃木県のトマト農家の男性(52)は「肥料、資材、人件費、水光熱費、気温、全部高かった」。猛暑による品薄で野菜の価格も高くなったが、「農家の所得にはつながっていない」と指摘する。 暑さに関連する字は酷暑の「酷」が5位、猛暑の「猛」も6位に入った。同じく6位の「騰」も、資材高騰に加えて「地球沸騰化」(三重・野菜農家の40代女性)を理由に選んだ農家がいた。猛暑の影響や資材高騰による経営環境の悪化を訴える農家も多く、4位に「耐」、8位には「厳」と「苦」が入った。 こうした中、「熱」と回答した埼玉県のパート・アルバイトの50代女性は「暑さの中、熱心に農業に携わってくれた方々に感謝」とメッセージを寄せた。千葉県の水稲農家の50代女性は「来年はこんなに暑くならないといいな」と願い、「暑」を選んだという。
日本農業新聞