“批評家好み”の映画はオスカーに有利?過去には『ドライブ・マイ・カー』も受賞
2021年末、濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』は全米の批評家からこぞって年間最優秀作品に選出された。同作はその後、アカデミー賞で作品賞を含む4部門にノミネートされ、国際長編映画賞に輝いた。 しばしば、オスカーは大衆ウケしないアート映画のためのものだと揶揄されるが、実際は潤沢な予算がかけられたスタジオ作品がノミネートされることが多い。それゆえ、『ドライブ・マイ・カー』の成功は、より一層例外的だったのだ。 批評家たちはオスカーへの投票権を有していない一方で、作品や俳優が受賞する可能性に影響を与えている。 昨年末、LA映画批評家協会は『The Zone of Interest』、NY映画批評家協会は『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を年間最優秀作品に選出。両作品とも、今年のオスカー作品賞有力候補だ。 さらに、NYの批評家たちは「キラーズ~」のリリー・グラッドストーンを主演女優賞、『The Holdovers』のダヴァイン・ジョイ・ランドルフを助演女優賞に選んだ。 中でも、最も意外だったのは、ドイツ人俳優のフランツ・ロゴフスキ(『パッセージ』)が主演男優賞に輝いたことだ。同作はMubiでの配信という公開形式を取り、キャンペーン活動においては、ロゴフスキは他の候補者に比べはるかに圧倒されていた。