大人もちゃんと歯磨きしてる? 虫歯と同じくらい気を付けたいのが歯周病 放っておくと体のあちこちに影響が
4~10日は「歯と口の健康週間」。80歳で自分の歯を20本以上保つ「8020運動」が進む中、厚生労働省の調査では25歳以上の8割超に虫歯があり、3割は未処置という。大人も日々の歯磨きを見直す必要がありそうだ。竹内歯科(鹿児島市郡山町)の院長で、歯学博士の竹内尚士さん(42)は「大人の歯磨きは虫歯に加え、歯周病予防が目的になる」と語る。 【写真】歯周病と全身疾患の関連性をイラストで分かりやすく
日本歯周病学会専門医でもある竹内さんによると、大人に多いのは歯の根元部分の虫歯。年齢を重ねて歯茎が下がるためで、歯周病が主な原因だ。「成人の8割以上は歯周病。原因菌は歯と歯の間にたまる」として、歯磨きの重要性を訴える。 厚労省の2022年の歯科疾患実態調査では、80歳で20本以上の歯を保つ人が5割を超えた。「意識が高まった結果だが、歯が残るということは歯周病のリスクが続くということ」と指摘する。 歯周病は口腔内だけでなく全身にも影響を及ぼす。歯周病菌が血管から侵入し脳梗塞や心疾患、動脈硬化を引き起こす可能性もあるという。「歯周病予防は身体の健康にもつながる。歯磨きの多くの利点を知ってモチベーションにつなげてもらえたら」と期待する。 ■継続は力 歯磨きは、歯と歯茎の境目を重点的にブラッシングする。歯ブラシを前歯は縦方向、奥歯は横方向に細かく動かして磨く。竹内さんは「時間は気にせず、磨く順番を決めて全ての歯に触れるようにすることが大事」とアドバイスする。
利き手側の奥の裏側が磨き残しが多い傾向にあるので注意したい。歯ブラシで取れない部分は、先端に小さな毛束が付いた「タフトブラシ」や歯間ブラシを使って鏡で確認しながら磨くのがお勧めという。 竹内さんは「歯磨きの仕方は自己流の人が多い。できれば歯科衛生士に一度習ってほしい」と語る。「重要なのは継続すること。自分の歯に向き合う時間を取って」と呼びかける。 ■ブクブクうがい 歯磨きの理想の回数は毎食後の1日3回。しかし仕事や出先で、時間や場所の確保が難しいこともある。その場合、口を閉じて頬や唇を膨らませて行う「ブクブクうがい」でも効果はあるという。竹内さんは「食後の口内は虫歯になりやすい酸性の状態になっている。うがいで中和され、予防につながる」と説明する。 ビールやワインなどのアルコール類、炭酸飲料も口内が酸性になりやすい。飲んだ後は水やお茶を飲んだり、うがいをしたりするとリスク軽減が期待できる。竹内さんは「日々の歯磨きはもちろん、できるだけ口内が酸性の状態を減らすよう意識して。歯周病は痛みがなく気付きにくい。忙しい中でも、定期的な歯科検診とメンテナンスで予防に努めてほしい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島