友成空（撮影：藤井拓）

友成空が昨日1月5日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでワンマンライブ「空感 kū-kan」を開催した。 【写真】観客を前にライブを行う友成空 ■ 1年ぶり2度目のワンマンライブ 友成は2002年生まれの新世代シンガーソングライター。2024年1月に発表した楽曲「鬼ノ宴」がストリーミング再生1億回を突破するバイラルヒットを記録し、その名を世間に知らしめ、5月発表の楽曲「睨めっ娘」のミュージックビデオとリリックビデオのYouTubeでの再生回数がそれぞれ約1000万回と人気を博す。昨年1月に東京・TOKIO TOKYOで行った1stワンマンライブ「雨のち空」から1年ぶりにして2度目となった単独公演は、前回に続いてチケットがソールドアウト。会場には年齢、性別を問わず幅広い客層のファンが集結した。 2ndワンマンライブのステージにはキーボードやラップトップといった機材のほか、ランプ、ジャケットをかけるハンガースタンドなどがこじんまりと並ぶ。まるで友成が日夜音楽を制作し続けている部屋のようだ。アットホームな雰囲気の中、友成は自身が18歳のときに発表した楽曲「縁」でライブをスタートさせ、リスナーへの応援歌「ユニフォーム」につなげ、オーディエンスを軽やかな友成空の世界へと誘う。間髪いれずに始まった「睨めっ娘」では友成がハンドマイクで歌い、片手で空を仰いでフロアを盛り上げた。 ■ “空想の時間軸”で進むライブ この日の公演は友成の希望によりフロアに椅子を並べて開催された。友成は「2時間ずっと立っていられないことだってあるじゃないですか？ 僕も座りたいので」と微笑み、「自分の部屋をここに持ってこようと思って、スーツケースに自分の部屋のインテリアを詰めてやってきました」とステージのコンセプトにも触れた。聞き手によってさまざまな情景が浮かびやすいのが、友成楽曲の魅力の1つ。友成は「昔の景色を思い浮かべてみてください。どんな景色が浮かびますか？ 僕は学校に通っていた頃の風景を思い出します。今同じ電車に乗っても、景色が違うんですよね。皆さんが思い浮かべる風景も今はちょっと変わってるかもしれない。この曲を書いて3年ちょっと経った今、変わっていくことも素敵だなってちょっと思えるようになりました。あの頃の気持ちと今の気持ちを混ぜて歌います」と話し、「看板」を披露。観客が思い出すそれぞれの過去の景色に寄り添うかのような、薄暗い明かりの中で優しく歌う友成の姿が印象的だった。 また彼は「夜が好き」だと言い、7曲を終えたあたりで「今がこのライブだと22時くらいのイメージです」と、ライブ中に独自の友成タイムがあることを説明。「次からは24時回って、ディスコで踊るみたいな感じにしましょう。皆さん座ったままでいいので、思い思いに踊りましょう」と呼びかけ、友成なりのディスコチューン「TSUMI」を歌唱した。なお彼はディスコに行ったことがないとのことで、「行けそうなディスコがあったらSNSでメンションして教えてください」とも話していた。 ■ できたてホヤホヤの新曲も披露したライブ後半 ライブ後半、ヒット曲「鬼ノ宴」から最新曲「ACTOR」につなげ、観客を楽しませた友成。「ワンマンだから言っていいですか……（『ACTOR』は）めちゃくちゃ難しいです！ なんでこんな曲作ったんだろう！」と笑うも、無事に演奏できた安堵感から笑顔を弾けさせた。本公演では既存曲はもちろんのこと、「憂鬱と享楽の歌です」という説明のあった「メトロ・ブルー」や、ライブ前日にできあがったという「ベルガモット」などの未発表曲も披露された。「ベルガモット」では友成がジャジーかつアシッドなトラックに乗せて、流れるようにラップのような早口のフレーズを歌う場面もあった。「時間、空間」がテーマでもあるというこのライブでは、「ベルガモット」までが“深夜帯”だったそうで、友成の「朝の曲をやってもいいですか」という言葉から、ステージ後方にあるスクリーンには窓の外をイメージした映像が映し出される。友成はピアノの美しい音色を響かせてから、「グッドモーニング」「コーヒー」と目覚めの朝にぴったりの楽曲を披露した。なお彼は最近コーヒーメーカーを買ったという。 ライブ終盤には友成にとって初めてのタイアップとなった、アシックスジャパンのショートドラマシリーズ「シゴトはもっと楽しめる」第2弾の主題歌「未来電話」へ。この曲について友成は友人との会話を引用し、「『悩んだときのことをよく覚えておくといい、未来の自分が教えてくれるようになるよ』と言われたんですね。曲を作ってると未来から教えてもらうことがほとんどで、自分でほとんど意識していないままに曲ができる。あとから『この曲の通りじゃん』ってなることもある。過去と未来なんて抗えないものだと思っているけど、意外と未来の自分に思いを馳せれば、“自分と自分の会話”なんて簡単なんじゃないかと思って作りました」と説明した。 ■ 未発表曲「ラーメン」初披露したアンコール アンコールではまず「睨めっ娘」が緩急の効いた弾き語りアレンジで演奏された。友成は「せっかくアンコールをいただいたので、来てくれた皆さんと“秘密の曲”を共有しましょう」と話してから、次の楽曲について説明する。「この曲は僕の思い出が詰まっています。高校時代に歌詞を書き始めたんですけど、僕はめちゃくちゃラーメンを食べていたんです。歌詞を書き始めたコロナ禍の頃、『みんなでまたラーメン食べたいな』と思って曲にしました。当時は音楽を趣味でやるんだと思ってましたし、暇すぎたから作った曲を（事務所に）送ってみたらいつの間にかデビューして、いつの間にかここまで来てしまいました。みんなありがとう。でもずっとそのときから変わらないことは、歌だけは正直になろうってことですね。生きていたら嘘ついちゃうじゃないですか。いらん嘘も必要な嘘も。そういうのと関係ない場所にあるのが音楽だから。いくら正直に言っても誰からも文句言われないから。そんな僕の正直な……って言ってもなんだかかわいい内容で、高校時代の自分ってかわいいなと思いました」と語ってから、未発表曲「ラーメン」を観客にプレゼント。牧歌的な雰囲気で進むかと思いきや、壮大に展開するアレンジもあり、温かなムードで場内が満たされた。 ■ セットリスト □ 友成空 2nd ONEMAN LIVE「空感 kū-kan」2025年1月5日 渋谷duo MUSIC EXCHANGE 01. 縁 02. ユニフォーム 03. 睨めっ娘 04. ノーマル（未配信曲） 05. 看板 06. メトロ・ブルー（未配信曲） 07. 5号線 08. TSUMI 09. 鬼ノ宴 10. ACTOR 11. ベルガモット（未配信曲） 12. グッドモーニング 13. コーヒー 14. 未来電話（未配信曲） 15. I LOVE ME! ＜アンコール＞ 16. 睨めっ娘（弾き語り） 17. ラーメン（未配信曲） 18. 改札（弾き語り）