脱サラ、妻のがん…苦闘乗り越え焼き鳥店オープン 夫婦の道のり赤裸々に、TikTokが10万回再生 加古川
勤め先の廃業を契機に、焼き鳥店開業を目指した兵庫県加古川市の夫婦のTikTok(ティックトック)動画「脱サラ整備士焼き鳥屋開業物語」が話題を呼んでいる。独立を決意した夫を支援しようと、妻が開業までの動画を撮影し公開。19本の総再生数は10万回を超えた。妻にがんが見つかるなど「どうなるか分からない道のり」だったが、7月末、東加古川駅近くで開業にこぎ着けた。(増井哲夫) 神戸の練り物文化守れ、〆はやっぱり… 関東煮の居酒屋が始めました 「隠れ処(どころ)きんや」=加古川市平岡町新在家1=の山田欣也さん(49)とあゆみさん(43)。3年前、道路拡幅に伴う立ち退きで勤務先の自動車整備工場が廃業の危機に陥った。欣也さんは自分の店を持ちたいと決意。義兄に食事に誘われて訪れた神戸の焼き鳥店の味に感動し「こんな店にしたい」と思い立った。 自宅でバーベキューをし、家族に自作の焼き鳥を振る舞った。串に刺した鶏肉を焼く様子を見たあゆみさん。元々好きだったティックトックで開業までの日々を流そうと思い付いた。2人の息子に「お父さんの記念すべき1回目の動画やで」と言い、スマホで撮影。「開業までにどんなことがあるのか、リアルな物語に興味を持ってもらえたらと思った」といい、2022年12月、初めての動画をアップした。 23年1月、勤務先は廃業を決定。義兄の紹介で神戸の焼き鳥店の面接を受け、思いをぶつけると「やる気のある人を応援したい」と採用された。 1月にアップした2本目の動画は「焼き鳥屋開業の覚悟を決めたら(元の勤務先から)廃業を告げられた」との内容で、2万回再生された。欣也さんは「同様に安い給料で頑張ってきた人から共感してもらえたのではないか」と振り返る。 ところが同年3月、あゆみさんに乳がんが見つかる。幸い、初期だったため手術で完治。6月に4本目の動画で報告し「家族で力を合わせて乗り越えていきます」と掲載すると、温かいコメントが寄せられた。 9月に修業がスタート。1日50羽分近くを2人でさばく。銘柄鶏のガラは、せせりやはらみなど希少部位の肉をそぐなど丁寧な作業が求められ、毎日へとへとになって帰宅。先輩の作業の様子を動画に撮って、自宅でも練習を重ねた。 あゆみさんは修業の様子やイベントでの「焼き」デビュー、店の構想や改修工事の様子などを動画でアップ。東加古川駅から東南へ徒歩6分ほどの場所で7月27日オープンが決まった。19本目の動画に夫婦とも初の顔出しで報告すると、4万6千回再生を記録した。 「仕込みに必死で、夫婦ともヒヤヒヤ、ドキドキの毎日」だが、動画をきっかけに来店してくれたり、店での会話が弾んだりすることもある。「今日はどんな出会いがあるのか」が楽しみなんだそう。 午後6~11時。日、月曜休業。詳しくはインスタグラムで。TEL080・9125・4114