麹の文化、伝え続ける…「伝統的酒造り」無形文化遺産登録へ
「伝統的酒造り」が、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される見通しとなり、全国2位の清酒生産量を誇る京都府内の関係者からは喜びの声が上がった。 【画像】京都府 府酒造組合連合会には京丹後市から城陽市までの40業者が加盟。うち伏見区には22業者が集中している。
「月の桂」で知られる増田徳兵衛商店会長で、伏見酒造組合前理事長の14代増田徳兵衛さん(69)は「全国的に清酒の生産量が減少しており、世界にPRする上で、文化遺産の登録は大変ありがたい。世界に誇る麹(こうじ)の文化を、子どもにも学んでもらえる取り組みも進めたい」と声を弾ませた。 酒造りを学んだり、利き酒を楽しんだりできる資料館「月桂冠大倉記念館」(伏見区)の主任、三輪祥智さん(59)は「多い日は半数以上の来館者が外国人観光客だが、日本酒に詳しい人が多くて驚かされる。逆に日本人の日本酒離れが進んでいて、登録をきっかけに親しんでもらいたい」と期待する。
江戸時代以来、農閑期に伏見で働いた杜氏(とうじ)集団「丹後杜氏」で知られる府北部には、12業者がある。宮津酒造組合理事長で、与謝娘酒造(与謝野町)社長の西原司朗さん(44)は「酒造りの技術が認められたと紹介でき、励みになる。将来に酒造りを伝えるため身が引き締まる」と喜ぶ。 英国出身で木下酒造(京丹後市)の杜氏、フィリップ・ハーパーさん(58)は「日本酒は日本が生んだ素晴らしい伝統技術。銘柄に地名を付けたり、ラベルを筆文字でデザインをしたりして日本文化を紹介しており、登録が追い風になれば」と願った