「何様のつもりだ」「女のくせに」“カスハラ”暴言被害が最多 従業員の精神健康害する実態明らかに
精神面への影響も明らかに
カスハラのきっかけとなった理由については、「接客やサービス提供のミス」の19.3%を上回り、「顧客の不満のはけ口・嫌がらせ」が最多の26.7%と3割近くを占めた。 「(なぜ怒っているのか)わからない」も17.3%あり、そうした“理不尽”なカスハラについて佐藤執行委員は「看過できるものではない」と語気を強めた。 事実、「(カスハラを体験した後)心身の状態に何か変化がありましたか」の問いに対しては、「寝不足が続いた」1.2%(193人)、「心療内科などに行った」0.8%(123人)の回答があり、佐藤執行委員は、「(カスハラが)どれだけ精神面に影響しているか。大きな課題として捉えていかなければならない」と訴えた。 また今回の調査では、カスハラと精神健康との関連について、初めて科学的に分析され、被害が“数値化”された。 一般社団法人ココロバランス研究所の 島田恭子代表理事(精神保健福祉士、保健学博士)らが、カスハラがなかった場合とあった場合について「精神健康」状態を分析し、数値に表した。 カスハラがなかった場合の平均点は約5.4点。これに対しカスハラがあった場合は約7.75点で、9点以上で認められる「気分・不安障害相当」の状態により近いことがわかった。
企業に取り組み求める法制化を
「お客様は神様です」という流通・総合サービス分野の風潮の下、助長されてきた顧客のカスハラ行為。しかし、アパレルチェーン店の店員を土下座させ強要罪で逮捕された客のように、行き過ぎた行為は法により罰せられることにもなる。 今後の対策について、佐藤執行委員は「(UAゼンセンは)『啓発』と『法制化』を2軸として運動を行ってまいりたい」とし、法制化について「企業の取り組みはまだまだ十分であるとは言えない。企業にカスハラ被害を防止するための対策(対応マニュアル作成、研修実施など)を義務付けることも重要だと捉えている」と語った。 会見の最後に佐藤執行委員はこう力を込めた。 「『サービスを提供する側と受ける側が共に尊重される社会の実現』をめざしていきたい」
榎園 哲哉