女性型ロボットが描いた作品がオークションへ。 「AIアートにおける重要作品」の高額落札に期待
人工知能(AI)アルゴリズムを使用したヒューマノイドが制作した初のアート作品、《A.I. God. Portrait of Alan Turing》 が、10月31日に開催されるサザビーズのオークションに出品される。幅162.5センチメートル、高さ230センチメートルのキャンバスに描かれた本作品には12万~18万ドル(約1825万~2740万円)の評価額がついており、オークションの売上はエイダの運営資金に充てられるという。 この作品は、ヒューマノイド・アーティストAi-Da(エイダ)に組み込まれたアルゴリズムを使用して作成されており、数学者でありコンピューター科学者でもあるアラン・チューリングの姿を描いている。 黒髪のボブカットで、Tシャツとデニムのオーバーオールをまとったエイダは、イギリスに拠点を置く美術商兼ギャラリーオーナーのエイダン・メラーによって作られたヒューマノイドだ。このロボットは、複数のカメラが目に取り付けられているほか、AIアルゴリズム、ロボットアームが搭載されており、絵具を使い分けながら作品を作成する。メラーはCBS MoneyWatchの取材に対して次のように語っている。 「今回出品される作品が、他の生成AIによる作品と異なる点は、エイダには実体があることです。この種のロボットによる作品がオークションにかけられるのは今回が初めてですね。多くの技術革新が起きているので、将来的にはたくさんのロボットが登場し、さまざまなタスクをこなしてくれるようになるでしょう。テクノロジーによって起きている信じられないほどの変化について、アートを介して議論できればと思っています」
また、サザビーズのバイスプレジデント兼デジタルアート部門長を務めるマイケル・ブハンナは、今回のオークションに対して次のような声明を発表している。 「エイダによる《A.I. God. Portrait of Alan Turing》のような作品に市場価値がつけられた事例の数はそう多くありませんが、アートとテクノロジーの交差点、特にAIの領域で活躍する著名なコレクターたちと対話を重ねた結果、この作品に対する需要の高さが明らかになりました。コレクターたちの熱意と関心、そしてAIアート界におけるこの作品の重要性をひしひしと感じています。そして、予想される需要と市場における潜在力を反映した結果、このような価格で取引されるだろうと予想を立てました」 《A.I. God. Portrait of Alan Turing》は、今年5月にスイス・ジュネーブの国連本部で開催された「AI for Good Global Summit」で5枚のポリプティクス作品の一部として展示されたという。 エイダが作り上げた肖像画に加えて、10月31日のデジタルアート・オークションでは、レフィク・アナドルやPAK、Xcopy、DesLucreceなどのデジタルアーティストによる作品も出品される。