いざパリ五輪切符きょう中国戦!大岩ジャパンは“一枚岩”「笑って泣いて歓喜してくれると一番うれしい」
男子のパリ五輪アジア最終予選を兼ねたU―23(23歳以下)アジア杯は15日、カタールで開幕。8大会連続五輪出場を目指す日本は16日(日本時間午後10時)の初戦で中国と対戦する。パリ五輪サッカー開幕(7月24日)まで100日となった15日を前に、大岩剛監督(51)がスポーツ報知のインタビューに応じ、「応援してくれる人たちが笑って、泣いて、歓喜してくれることが一番うれしいこと」と、日本に熱狂を届ける切符を約束した。(取材・構成=後藤 亮太) いよいよ始まるパリ五輪出場権を懸けた戦い。大岩監督は自然体で初戦を迎える。 「最終予選前最後(3月)の活動で収穫もたくさんあったので、楽しみな気持ちと、いよいよだなというのが率直な思い。もちろん緊張感はある。ただ、勝ち進むしかないので、選手とともにやっていきたい」 22年3月から指揮を執り、「攻守にアグレッシブなサッカー」を掲げて、前線からプレスをかけ、攻撃ではボールを支配することを求める。これまで招集した86人から選んだ23人で目指すサッカーはぶれることはない。 「サムライブルー(A代表)とは違い、うまく、きれいなサッカーではないかもしれないけど、うまくなりたい、強くなりたいという感情が乗り移ったようなプレーを見てもらい、それを感じてもらえたらうれしい。『失敗を恐れることがミスだ』と言っていて、それを体現している選手はたくさんいる」 今大会は国際Aマッチデー期間外で久保建英(Rソシエダード)、鈴木彩艶(シントトロイデン)に加え、10番を託してきた鈴木唯人(ブレンビー)らも招集できなかった。3・5枠の出場権獲得へ山本昌邦ナショナルチームダイレクターが「厳しい予選が予想される」としたように、1次リーグは韓国、UAE、中国との「死の組」に。勝ち上がった準々決勝でもオーストラリアかカタールとの対戦が予想されるが、積み上げてきたものに自信はある。 「コントロールできないことに引っ張られるよりも、自分のやるべきことに集中し、力を注ぐ。毎活動(選手には)質の高いことを求めていくよ、と発信してきた。(アルゼンチン、イングランドなど)強豪国とやって、自分たちのやり方であれば、勝つことができるという成功体験もある」 重視するのが「一体感」。ACLを制した鹿島の監督時代から「指揮官」としての不変の哲学だ。 「昔、岡田さんや名波も言っていたが(98年フランスW杯予選などでは)卵などの物を投げられたり、バスを囲まれたり、自分の家に警察がいるとか(があった)。でも外はコントロールできない。選手だって怖いじゃないですか。今はポジティブなものからネガティブなものまで情報過多の時代だけど、チームのことを考えて、チームの中は一つの方向に向いているのが理想かな」 これまで蓄えてきた「熱量」で、日本を熱狂させる時がきた。 「応援してくれてる人たちが、笑って、泣いて、歓喜してくれることが一番うれしい。批判されるときもあるかもしれないけど、それを背負うのは監督。最終予選でもっと苦しい場面はあると思うが、一つの方向に向かうグループ作りはしてきた。いい結果を出して、日本に戻ってきたい」 〇…U―23日本代表の大岩監督が15日、カタール・ドーハで1次リーグ同組(B組)の韓国・黄善洪監督、UAE・ブロリ監督、中国の成耀東監督と公式会見を行った。92年以降の五輪アジア最終予選で、日本は初戦で引き分け以上の成績なら本戦出場を決めているデータがあり、初戦の中国戦は重要な一戦。指揮官は「非常にいい準備ができている。チーム一丸で向かっていきたい」。会見では韓国メディアが強国ぞろいのB組を「グループ・オブ・デス(死の組)」と称し、黄善洪監督も「その通りだ」と同調する場面があった。 取材後記 揺るぎない強さを大岩監督から感じた。21年東京五輪は自国開催枠で出場したため、切符をかけて臨むアジア最終予選は16年のリオ以来。当時より海外組が増え、主力に成長したが、クラブ事情もあり鈴木唯人、三戸舜介、斉藤光毅ら常連組を招集できなかった。チーム作りに影響は出たが、指揮官は「選手選考でうまくいかないところが前提にあるけど、そこまで悲観はしていない」と言い切った。 不動心の裏には過去の経験がある。この世代は新型コロナ禍で21年U―20W杯が中止となって国際経験を積めず、また今大会も1月から4月に開催が先延ばしとアクシデントに直面してきた。だからこそ、指揮官は「コントロールできないことに引っ張られない」と何度も強調した。一丸となり、目の前の試合を勝ち続けるだけの精神力を大岩ジャパンは持っている。(U―23日本代表担当・後藤 亮太)
報知新聞社