1.2Lハイブリッド登場 プジョー5008へ試乗 大人も許容する3列目 家族の要望を満たす新世代
動力性能は必要充分 満員時は物足りないかも
今回試乗した1.2Lハイブリットは、3気筒ガソリンターボエンジンと、6速デュアルクラッチAT内に電気モーターが組まれた構成。駆動用バッテリーは0.9kWhとなる。電気だけで走れる距離は1km程度でも、エネルギー効率を高めている。 最高出力は135psで、最大トルクは23.4kg-m。0-100km/h加速を11.3秒でこなし、最高速度は197km/hがうたわれる。 公道を走らせてみると、動力性能は1705kgの車重へ必要充分。高速道路の合流車線では、短距離で加速を終えられる。とはいえ、これはプジョー308にも載るシステム。複数名の大人や相応の荷物が加わると、物足りなさを感じそうだ。 パワフルさをお望みなら、プラグイン・ハイブリッドを考えたい。最高出力は194psへ上昇し、電気だけで77km走れる。 少なくとも、3気筒エンジンのフィーリングは素晴らしい。登用期間の長いユニットだが、洗練され静か。鋭い加速を求めると少しにぎやかでも、高速巡航時にノイズが目立つことはない。6速ATとの相性も良く、変速は気付かないうちに終わっている。 操縦性も、大きめのSUVとしては素晴らしい。カーブを積極的に攻めればボディは外側へ傾くものの、だらしなくなることはない。 ステアリングホイールは低い速度域で軽く、5008をひと回り小さく感じさせる。速度域が高くなると重みが増し、安心感が高まる。反応はダイレクトで正確だから、車線の中央も維持しやすい。相当な速度で曲がれば、アンダーステアが出るとはいえ。
ユーザーのニーズをくまなく満たす実力派
ドライブモードは3種類。エコ・モードでは、アクセルレスポンスが優しくなり、エアコンの効きも抑えめになる。スポーツ・モードは、ステアリングやダンパーが引き締まる。コンフォート・モードが、5008 ハイブリットのベストだろう。 乗り心地はしなやかだが、やや落ち着きが足りない印象。市街地の速度域では、19インチの大きなホイールでも、タイヤのサイドウォールが厚く充分に快適といえる。 段差などを超えると、車内でノイズが反響し、実際より揺れが強く感じられた。 高速道路では、風切り音が大きめ。ロードノイズも小さくないが、このサイズのSUVでは避けがたいものではある。燃費は、今回の平均で15.6km/L。カタログ値より劣るが、悪い数字ではないだろう。 英国では、同等装備のライバルより残価設定型プランの月払い額が小さい。8年間か16万kmまでの保証を付帯できるのも強みだ。 大きめのファミリーカーを検討するユーザーのニーズを、くまなく満たす5008。エキサイティングなプジョーではなくても、洗練され高効率なパワートレインと実用的なキャビン、正確な操縦性や運転のしやすさで、多くの人の共感を得るはず。 もう少しのパワフルさや、乗り心地など、気になる点はゼロではない。それでも、7シーターのSUVとして実力は高い。 ◯:ダイレクトで安定したステアリング 広く実用的なキャビン 洗練された3気筒エンジン △:やや快適性で劣る3列目 直感的とはいいにくいインフォテインメント・システム やや物足りない動力性能
プジョー5008 ハイブリット(英国仕様)のスペック
英国価格:4万860ポンド(約785万円) 全長:4790mm 全幅:1890mm 全高:1690mm 最高速度:197km/h 0-100km/h加速:11.3秒 燃費:18.6km/L CO2排出量:122g/km 車両重量:1705kg パワートレイン:直列3気筒1199cc ターボチャージャー+電気モーター 使用燃料:ガソリン 最高出力:135ps/5500rpm 最大トルク:23.4kg-m/1750rpm ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)
ジョナサン・ブライス(執筆) 中嶋健治(翻訳)