潰れる前に会社ができる最後の金策と資金繰り(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■金融機関と取り引きがない場合─果たして、窮地に一発逆転は可能なのか?─
それでは、これまでまったく金融機関と取り引きがない場合はどうするのか。これはなかなかの絶望的な状況です。前述のとおり、初見さんで赤字ってなかなか貸せる要素がありません。 でも、可能性がゼロかといえば、苦しいのですがゼロではありません。できることは残されています。 例えば、ノンバンクやビジネスローン。個人のクレジットカードのキャッシングや消費者金融。これを使うことで、金融機関の評価は下がってしまいますが、金融機関から借りられないのであれば、仕方ありません。短期的にこれらを使い、正常に戻せる余力があれば、これらの方法を選択するのもひとつ。 でもその前に、一度は日本政策金融公庫に行く。まずはこれをやるしかありません。日本政策金融公庫も政府系とはいえ、金融機関です。ですから、やっぱり取り引きがある方が有利。創業融資も受けていません、コロナ融資も受けていません、自己資金は使い果たしました、という場合でも、ダメ元で行くべきです。 状況は最悪でも、日本政策金融公庫に行けば、可能性はゼロじゃありません。もしかしたら、100万円でも融資が出る可能性があるかもしれない。「100万円ぽっちじゃ、会社の立て直しなんかできない」という意見もあると思いますが、日本政策金融公庫との取り引き実績ができれば、他の金融機関からも借りられる可能性が出るわけです。「厳しそうな会社だけど、日本政策金融公庫さんが貸したのならば、大丈夫なのかもしれない」と。 もちろん、試算表、資金繰り表、経営改善計画書は必ずつくります。その上で、やれることは何でもやる。こうした姿勢があれば、奇跡が起こる可能性はあるのです。まあ、それでも奇跡と呼ぶくらいの確率になってしまいますが…。絶体絶命の窮境を脱出できるのか否かは、日頃の金融機関との関係性が左右するのかもしれませんね。 横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士
【プロフィール】
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。