【キーマンに直撃!】復活の「ロータリーエンジン開発グループ」、その狙い
■RE開発における今後の課題や目標
ーー あらためて今回RE開発グループが再結成された狙いは? 日高:(8C)の量産はしたんですけれど、(REの開発で)また次のステージに行こうとしたときに、設計も実験も、あるいはもっと根幹のところも、また集まったほうがやりやすい。決断力で早く全部回していきたいので、もう1回集まったという経緯です。 最近はリモートでも話はできます。けれど、昔の考え方なのかもしれませんが、集まったほうがやりやすいってあるじゃないですか。やっぱり(相手の)目を見て。リモートでも目をは見られるけれど、本心は何を考えているのって。(直に会って)話したほうがわかりやすいんじゃないのって。 ーー 今回の再結成を発表した毛籠勝弘(もろ・まさひろ)社長は、「ジャパンモビリティショー(JMS)でアイコニックSPへの反響が非常に大きく、背中を押された」と言っていました。 日高:期待していただく声は大きいですね。われわれも思っていた以上でビックリしているほどです。うれしいというほうのビックリですね。 ーー 再結成のグループは36人とのことですが、全員RE開発経験者? 日高:今までREをやっていなかったという人は現時点でいません。MX-30の8C型の開発などに関わった人はもちろん入っています。昔から開発をしていた人もかなりいます。 ーー コスモスポーツの「ロータリー四十七士」は有名ですが、36人でRE開発のすべてを担当する? 日高:ロータリーの根幹となる部分ですね。ロータリーの肝になるのは偏心運動するところで、その開発をするメンバーが36人です。ほかの部分はまったく含まれていません。量産まではとても無理ですね。以前のRE開発部門は最大70人くらいでした。今は図面を手描きすることはなくなりましたが、36人では正直足りないかなというなかで、どうにかやっていかないとと思っています。 ーー RE開発で今後、課題や目標となるところは? 日高:まずはJMSでもあったように、発電機のユニットとしてREを加速させていく。やはりコンパクトというのがウリと思っていますので、それをベースとして。あとは環境規制対応などですね。そこへ向けてステップアップしていくのが非常に重要だと思っています。 その先にはもちろんカーボンニュートラルの実現もあります。ロータリーはもともろ多種燃料に親和性が高いので、それについても開発を加速できる体制にしたいですね。 ーー ロータリーはやはり燃費改善がひとつのキーだと思います。 ※編集部注:100km/h目安の巡航燃費は、14.5km/L(150km走行、編集部にてテスト) 日高:環境規制に対応するとなると、やはり燃費もよくしていかないといけません。ただ、MX-30に関しては、ふだんから長距離ばかり使うクルマではないと思っています。 ーー でも、エンジンが始動したら燃費はいいほうがいいじゃないですか。 日高:燃費改善をエンジン単体でやるのか車両システム全体でやるのか、なんだと私は思います。ロータリーの燃費がよくないのはわかっていますので、「これからトップになります」なんてことは言いにくいですが、よくしていくのは間違いなくて。まずは車両システムと、コンパクトで軽いというロータリーのよさで貢献できればと思っています。 ◆◆◆◆ 発電用としての新型ロータリーエンジン。動力源、つまり駆動用としての可能性はないのか!? 関連記事『水素ロータリー、そして動力源のとしての可能性は』では、トヨタとの関係性、そして今後のロータリーエンジンの可能性について探っています。 〈聞き手/まとめ=戸田治宏 写真=佐藤正巳〉
戸田治宏 Haruhiro Toda