セブンの「本質を変えず」にアップデート R500の加速は狂気の沙汰 ケータハム 7台を乗り比べ(3)
明らかに公道向きなスーパースポーツ
次に乗るのは、ケータハム・ロードスポーツ・リミテッド・エディション 1.4スーパースポーツ。2018年からアンディ・オハラ氏が所有する1996年式で、ボンネット内に納まるのはフォード・エンジンではなく、ローバーのKシリーズ 1.4L 4気筒だ。 【写真】ケータハム・セブン・シリーズ 7台 現代の420カップと170 R 起源のロータスMk VIも (124枚) ベーシックなロードスポーツでは、最高出力は106psながら、スーパースポーツ仕様には専用カムと吸気マニフォールド、ECUなどが組まれ、129psまで高められている。レッドラインも、7600rpmまでに引き上げられる。 またリミテッド・エディションとして、14インチのミニライト・アルミホイールでドレスアップ。モモ社製のステアリングホイールと、シフトライトも装備される。 スーパースポーツを名乗っていても、明らかにチューニングは公道向き。オーナーのアンディも、サーキットは殆ど走ったことがないそうだ。 ステアリングの反応は穏やかで、サスペンションはマイルド。ハイパワーなセブンより軽快感は高いものの、544kgの車重は特に軽量なわけではない。ボディロールは大きめながら、控えめな速度でもシャシーの動きを体感できる。日常的に運転を楽しめる。 グリップ力は高くなく、コーナーではアンダーステアへ流れがち。アクセルペダルを戻して、それを抑える。Kシリーズ・ユニットは高回転型。活発に走らせるため、沢山回ってもらうことになる。
本質を変えずにアップデートできる余地
ケータハムCSR 200が登場したのは2005年。それまでの32年の歴史で、過去最大といえる技術的進化が与えられていた。110mm広く150mm長いSVシャシーが採用され、SV-Rと呼ばれたレース仕様の技術が落とし込まれている。 サスペンションのダンパーは、インボードレイアウトへ改められプッシュロッドで伸縮。バネ下重量を削っている。空気抵抗も小さくでき、高速域では50%もリフトを抑えられたという。 フロントのトレッドは50mm拡大。安定性とグリップ力が引き上げられた。リジッドアクスルだったリアサスペンションも、ダブルウィッシュボーンとコイルスプリングの独立懸架式に。チューブラーシャシーは、ねじり剛性が25%も向上した。 エンジンは、2.3Lのフォード・デュラテック・ユニット。名門コスワースによるチューニングが施され、200psの最高出力を叶えている。これでも充分だが、更にパワフルなCSR 260も用意された。 イエローのCSR 200を、ベン・フェリー氏は2年ほど所有している。運転させてもらうと、本質を変えずにアップデートする余地が多く残されていたことを実感する。 キャビンは広く、身長が170cmの筆者の場合、シートを一番前にスライドしてペダルの位置は丁度。サーキットへ出てみると、それ以前のセブンと比べて遥かに洗練され、7台では最も運転しやすい。