8連携法人が活動紹介 人材確保、経営改善に効果
複数の社会福祉法人などが協働して地域福祉や災害時支援、人材確保などを行う「社会福祉連携推進法人」の取り組みや効果を共有するシンポジウムが6日、都内の会場とオンラインで開かれた。 2022年4月に創設された連携法人は今年9月末時点で全国に22法人あり、同日はそのうち8法人が活動を紹介。各社会福祉法人の自主性が保たれ、人材確保などの共通課題に取り組み、経営に関する意見交換ができるといった効果が挙げられた。一方、連携法人の運営に厚生労働省の支援を求める意見もあった。 二つの社会福祉法人が参加する「リゾムウェル」(大阪府)は効果として経営状況の相互けん制、特定技能制度による外国人の受け入れ、新たな組織開発手法の導入などによる経営改善ができたことを挙げた。 「あたらしい保育イニシアチブ」(和歌山県)は次世代に選ばれる保育施設を創造する目的で設立。31の参加法人の中にはシステム業者などもおり、保育のDX(デジタルトランスフォーメーション)や多機能化を推進し、地域ニーズのマーケティング情報を共有していくとした。 「日の出医療福祉グループ」(兵庫県)は独自に賛助会員制度をつくり、ICT(情報通信技術)推進部も設置している。連携法人は社会福祉法に基づくため、金融機関の信用向上や、人材の求人力、定着化に効果があるとした。 「一五戸共栄会」(東京都)は参加する3社会福祉法人が北海道、東京、岐阜に分かれ、一度に被災することはないため災害時に支援でき、加算算定について相談し合うことなどにより3法人とも増収となったとした。 ファシリテーターを務めた松原由美早稲田大人間科学学術院教授は「連携法人を活用して1社会福祉法人ではできない強みを出しながら、組織の3要素である共通目的、貢献意欲、コミュニケーションを発揮できる法人をつくってほしい」とまとめた。 シンポジウムは厚労省委託事業としてPwCコンサルティングが主催し、約600人が参加した。