片づけのプロが実感した、日本人とアメリカ人に共通する“問題点” 「片づかない家」になってしまう原因とは
決めつけるのはNG!相手の話もきちんと聞く
長い時間を共に過ごすうちに、相手は自分のことを理解してくれていると思い込み、「言わなくても同じ気持ちでいるだろう」と勝手に決めつけてしまうことがあります。しかし、家族であっても自分とは違う人間です。自分の気持ちも、相手の気持ちも、言葉にして伝えなければわかりません。 日本人は特に「察する」ということに長けているので、相手にも過剰に求めてしまいがちです。女性は特にその傾向が強く、「言わなくてもわかってくれているだろう」「こういう態度をとっているのだから、こう思っているに違いない」と先回りしてしまい、相手の気持ちを確かめもせずに行動したり、悩んだりしてしまいます。 コミュニケーションは、自分の気持ちを伝えるのと同様に、相手の気持ちも伝えてもらって確認することが大切です。例えば、ママが「リビングに棚を置いて収納力をアップしたい」と思っていても、パパは「リビングはできるだけモノを置かずにスッキリさせたい」と思っているかもしれません。パパの意見を聞かないまま、ママの思う通りにリビングに棚を置いてしまうと、パパは不満に思うかもしれませんね。 お互いにどう思っているのかをきちんと話し合い、ゴールを1つに決めてから行動に移しましょう。 また、子どもに対しても「この子はまだ小さいから」などと決めつけないようにしてあげてください。小さな子でも、ちゃんと親の話を聞いて、その子なりに考えています。家庭力アッププロジェクト®の参加者でも、「まだ小さいからと何でもやってあげていたけれど、片づけをさせてみたらとても上手にできて驚いた」というのはよくある話です。 親は勝手に子どもの限界を決めるのではなく、子どもが自分で行動できる環境を準備してあげましょう。最初から片づけられる子はいないので、一緒にやったり、できるようになるまで待ったり、その子の気持ちに寄り添ってあげてくださいね。
家族以外とも積極的なコミュニケーションを
コロナ禍のせいで、人と人とのコミュニケーションが減ったといわれています。実感している方も多いのではないでしょうか? 私も以前からそう思っていましたが、アメリカに行ってみて日本は特に希薄になったと感じました。アメリカでは道を歩いているだけで人々が挨拶を交わし、「そのコート素敵ね!」と声をかけてくれます。また、私たちが大きなスーツケースを持って階段を上っていたら、すれ違った人がわざわざ戻って手伝ってくれました。 日本でも昔は近所の人同士が道端で長話をしたり、子どもがいたずらをすると知らない人が叱ってくれたりしていましたね。子どもはそのような大人の姿を見て、コミュニケーションを学んでいきます。私は子どもたちのお手本になれるように、まずはご近所の方に積極的に挨拶をすることから始めるようと思います。 私はいつも「片づけは最大のコミュニケーションだ」と話しています。これはアメリカでも同じことが言えると確信しました。家の中を片づけたいと思っている方は、ぜひ家族で「どのような家に住みたいか」ということを話し合ってみてくださいね。
【PROFILE】西崎彩智
1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクトⓇ」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等の全国の教育施設にて講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。