「SUBU(スブ)」が作り出した「WINTER SANDALS(ウィンター サンダル)」という概念
「SUBUはシーンに合わせてデザインをしていくということが多いのですが、旅行へ持っていけるように、PACKBLE(パッカブル)仕様のものも作っています。 カカトがついて、ソールも柔らかい素材に変えて折り曲げられるようにしてあります。飛行機の中や、ホテルなどで使うといいと思います。海外のホテルはスリッパがないので、便利なアイテムだと思います」
「また、アッパーにリサイクルパルプ、インナーにリサイクルエコペット®、ソールにはリサイクルポリスチレンを20%配合した、サステナブル素材のサンダルも作りました。 紙なので“落書き”ができたり、ステッカーを貼ったり面白いことがいろいろできるアイテムです。アッパーはラテックス加工されているので外履きでも使えます。 ある日、骨折している人がSUBUを履いていたのを見たんです。そういう人にも便利なんだと思って、アイディアが浮かんだのですが、足を怪我した人にギプスみたいに寄せ書きして、プレゼントしたら面白いかなと思い、作ったアイテムです」
履物が一番土地の文化が出る
ここからはSUBUのもの作りの源泉となる思いや考えを知るべく、デザイナー府川さんのマインド的なところを伺っていこう。 「僕は履物って一番土地の文化が出るものだと思うんです。日本では家に入るとき“あがる”っていうじゃないですか。日本の家は室内が玄関から一段高くなっている造りなので靴を脱ぎ履きする文化で、家がフラットな造りの欧米だと、家の中でも靴を履いているので脱ぎ履きをあまりしない文化。また、ヨーロッパでは靴というと革靴をさすのですが、日本で靴というとスニーカーも込みの印象ですよね。 履物としての捉え方のギャップが国々ですごくあるのを感じたんです。SUBUは脱ぎ履きの多い日本の文化が反映されたブランドだということを、海外で理解してもらえると良いと思います」
「僕が今SUBUをやっている理由は、人生はリラックスできる時間がある方がいいなと思っていて、今この瞬間でも、仕事をしているときでさえも、リラックスできた方がいいと思うんです。たとえば家で映画を観るときにスーツを着て観るよりはパジャマや家着で観た方がリラックスできて、好きなものと向き合えると思うんです。その感覚がずっと続くといいなと思ってSUBUを作っています」 自身のライフスタイルの中から生まれたアイテムが今世界で売れている。もともとは外履き用に作ったサンダルが、コロナ後は内履き需要が一気に伸び、ルームシューズやオフィス履きなど、さらにSUBUを取り巻く環境が変化しているという。これからもさまざまなシチュエーションで府川さんのアイディアが生まれ、SUBUは進化し続けていくことだろう。