「正しいことをしたはずなのに」内部通報・厚労省への公益通報で4年間続く仕事干し…MRの涙の訴え
「厚生労働省では何度か面談していただきましたが、最後の面談の時に職員の方から『行政が動けばあなたに不利益が生じる可能性がありますよ』と言われたんです。 でも、私は『公益通報者保護法があります、不利益には自分で対処しますから不正を止めてください』とお願いしました」 その後も、会社の不正・小林さんへのパワハラは継続する。 ◆「労働審判」の申し立て、厚生労働省による「行政指導」⇒仕事を干される ’18年8月に、小林さんは労働審判を申し立てる。その際に証拠として提出した日記には、会社の不正を克明に記録し、厳しく批判する記述がたくさんあり、厚生労働省の担当者と面談したことも書かれていた。’18年9月以降、業界紙『ミクスonline』がアレクシオンの不正を報道している。 そして翌月、厚生労働省がアレクシオンに文書による行政指導を行った。小林さんによると、「製薬会社の宣伝について、文書による行政指導が行われたのは、私の知る限り2社目」という重大事だ。 さらに厚生労働省はその後、アレクシオンの本社に調査に入り、’19年2月にはアレクシオンにソリリスの添付文書改訂を指示する。 しかし、その直後、小林さんは配転させられたのだった。 「私は’19年7月に配置転換無効訴訟を提訴しましたが、’20年からは仕事を干されるようになりました。さらに’20年8月に第2配転により、私1人だけの部署で仕事がない状態にされています」 たった1人の部署に配置され、仕事がないのだとしたら、配置転換の必要性はないと誰もが思うだろう。しかし、この配置転換無効確認訴訟は小林さんの敗訴となる。 「公益通報者保護法を本当に通報者を保護するものに改正しなければいけない、そうしないと私と同様のことが起こる」と感じた小林さんは、そこで「公益通報者保護法の改正」の署名活動を開始する。その一方、会社は昨年5月に小林さんの担当業務を完全にゼロにしたそうだ。 「これまでは1時間未満の仕事がありましたが、5月中旬以降は全く仕事がない状態です。 いくらなんでもこれはひどいと思ったので、’21年より親会社になったアストラゼネカの内部通報窓口にアレクシオンファーマシューティカルズに不正を内部通報したが適切な対応をされなかったこと、仕事を干されていること等を内部通報しました。しかし、何の対策も取られませんでした」 そこで今年1月、小林さんはパワハラに関する損害賠償請求訴訟を提訴した。加えて、アストラゼネカと人事制度統合するとの理由で、管理職(シニアマネージャー、9等級)から一般職D(下から4番目)に降級され、基本給も下げられたことへの取り消しの訴えも検討中だという。 ■後編では、小林さんとともに声を上げた同僚たちの処遇、転職も難しい事態に追い込まれた現在の状況をお聞きします。 取材・文:田幸和歌子
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