奈良の鹿愛護会「厳しめなご指摘を受けた」 通報した獣医師「指摘を受けてどうするのか」 鹿苑の特別柵内の環境は「不適切」との調査結果を奈良県が発表
奈良公園のシカを保護する団体が収容しているシカが「虐待されている」との通報を受け、奈良県は施設の環境が「不適切だった」とする調査結果を公表しました。 「奈良の鹿愛護会」は農作物を荒らすなどしたシカを、奈良公園の一角にある「鹿苑」という施設内の「特別柵」と呼ばれる区画で保護していますが、9月に愛護会の獣医師が「十分な量のエサが行き渡っておらず、毎年50頭以上が死んでいる」と通報していました。
奈良県の山下真知事は6日の臨時会見で、通報を受けて調査した結果、「特別柵」の収容環境が不適切だったと公表しました。調査では、特別柵内のエサは量は不足していないものの栄養が不足している上、与える場所を1ヵ所にしているため一部のシカに行き届いておらず、やせすぎたり、死んだりしている割合が高いということです。 （山下真・奈良県知事） 「県と愛護会の連帯責任ですから、共同で改善していく責任がある」 一方で「愛護会」の業務が多岐にわたり、特別柵内で収容されているシカの頭数が適正な数を超えていて「現在の対応方法に限界がある」とも指摘。県も管理を愛護団体に任せ、積極的に関わっていなかったとして、一定の責任があると話しました。
県の調査結果を受けて通報した獣医師は・・・
（通報した丸子理恵獣医師） 「不適切な飼育環境だったことは大まかには認めてもらった」 「（愛護会の）現場の責任者は改善する気はなかった。今後、県の きちんと見ていかないといけない」
奈良の鹿愛護会は・・・
一方、愛護会は「収容するシカの数が多すぎることは以前から県と協議していた」とした上で・・・ （奈良の鹿愛護会の山崎伸幸事務局長） 「指摘を受けたことについては真摯に受け止め、改善しなければいけないことは改善したい」 「ただこちらとしては厳しめなご指摘を受けた」 奈良県は今後検討委員会を設置し、1年をメドに特別柵の改善を目指して補助金の増額も検討しているということです。
