イオンの最高益支える小型店「まいばす」の正体
なぜなら、コンビニは1店1店が独立したフランチャイズ(FC)契約をベースにしているからだ。店舗の従業員は、各加盟店が独自に採用する。そもそもFCビジネスでは、「あえて自社競合をするような出店」など、到底許されない。各加盟店の利益確保が事業の根幹だからだ。 このようなコンビニと比較すると、まいばすは、直営店だからこそ可能な効率運営を追求しているということができる。 出店は他社の撤退跡を活用した居抜き出店が多く、出店コストをできるだけ抑える。その分、店舗の面積や形状にばらつきはあるが、基本的な売り場のレイアウトは全店共通として、従業員がどの店舗でもすぐ作業ができるようにしている。また、在庫置き場や作業のためのバックヤードは、通常のスーパーが店舗面積の3割近くを占めるのに対し、まいばすは1~2割に抑えている。
2つめの秘訣は、グループインフラの活用だ。まいばすは、グループで総合スーパー事業を手掛けるイオンリテールのもとではじまった、いわば完全な「プロパー事業」。創業当初から物流インフラの活用などを通じ、グループメリットを享受してきた。 まいばすのような小型スーパーでは、通常のスーパー以上に多頻度小ロットでの配送が求められる。現在、まいばすの店舗には神奈川県や千葉県などにある4つの物流センターから商品が届くが、2019年頃に開業した横浜の物流センター以外、イオングループの既存のセンターを活用している。
精肉商品の加工作業や、弁当・総菜など即食品の製造についても、イオンフードサプライなど、グループの食品製造機能会社に一部委託している。 たとえばグループのスーパー、ダイエー傘下のアルティフーズが製造する「炊込み五目おこわおむすび」。税抜き価格は99円だ。「コンビニさんがどんどん値上げする中、当社の低価格な総菜類の認知が広がっている。総菜類は、現在もっとも好調な部門の1つ」(まいばす担当者)という。