「格安賃料で大阪市に1千億円超の損害」 IR用地めぐり市民が提訴
カジノを含む統合型リゾート(IR)予定地の人工島・夢洲(大阪市此花区)を巡り、格安の賃料で業者に土地を貸して市に損害を与えたとして、市民3人が16日、「適正賃料」との差額を横山英幸市長らに賠償させるよう市に求める訴訟を大阪地裁に起こした。2058年まで30年余りの差額は約1044億円にのぼるとしている。 市は30年のIR開業を見越して昨年9月、IR事業者に夢洲の市有地約49ヘクタールを58年4月まで月額約2億1千万円で貸す契約をした。 訴状で原告側は、市が複数の不動産鑑定業者に対し、高層ホテルも入るIR事業を考慮せずに鑑定するよう指示したのは不当だと指摘。独自の鑑定では倍以上の月額約4億7千万円になったとし、市の行為は「適正な対価」で公有地を扱うよう求める地方自治法に違反する、と訴えた。 提訴後に会見した原告の一人は「お金の使い方でずさんなことが行われているのは許せない」と話した。原告らは9月に住民監査を求め、監査委員が11月、賃料設定の妥当性について意見が一致せず「合議不調」としたため、提訴に至ったと説明した。 IR用地の格安賃料を巡っては、IR事業者への土地の引き渡しについても、差し止めを求める訴訟が大阪地裁で継続している。 市の担当者は「訴状が届いておらず、コメントできない」としている。(華野優気)
朝日新聞社