大谷翔平、打率&安打でメジャー全体トップに浮上 トリプルスリーも現実味
【ロサンゼルス21日(日本時間22日)=丹羽政善通信員、丹羽美佳子通信員】米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手(29)はメッツ戦に「2番・DH」で出場し、三回に8試合ぶりの本塁打となる5号2ランを放った。日本選手最多を更新するメジャー通算176号をマークし、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(49)の記録を抜いた。打率を・368、安打を35に伸ばしメジャー全体でトップに立った。 【写真】「特別なボールだ」大谷翔平のメジャー通算176号記念球をキャッチしたファン 白球が右翼スタンド上段へと吸い込まれる。日曜日のデーゲーム、4万9287人の観衆が一斉に立ち上がった。右翼手は後ろで腕を組み、一歩も動かない。大谷は本塁打を確信し、ゆっくりと歩き出した。 「素直にうれしい。目標にしていたし、早く打ちたいなと思っていた」 0―0の三回1死一塁。2球目の甘いスライダーを完璧に捉えた。大歓声の中、右手人さし指を突き立てると、電光掲示板には新記録を示す「176」の数字が表示された。12日の試合で、ヤンキースなどでプレーした松井秀喜が持つ日本選手の最多本塁打に並んでから、8試合ぶりの一発。ホーム付近で3番フリーマンと雄たけびを上げてタッチを交わすと、ベンチではヒマワリの種のシャワーで祝福された。 飛距離423フィート(約129メートル)、打球速度110マイル(約177キロ)。「憧れの存在」と敬意を抱く松井氏を特大の当たりで超え、「個人的には特別な一本」と感慨を込めた。本塁打が出れば記念球になるため、この間、大谷の打席では特別な刻印のあるボールに交換していた。「間延びするので、投手にも捕手にも申し訳ない。審判もわざわざ変えないといけないので」。意識せざるを得ない状況を打破し「安心と喜びがある」と表情を緩めた。 大記録へ夢が広がる。この日、3打数2安打2打点。7試合連続安打とし、打率を・368、安打を35に伸ばしメジャー全体でトップに立った。ナ・リーグの打撃部門で5本塁打は9位、13打点は23位だが、例年5、6月に調子を上げるタイプ。昨季のア・リーグ本塁打王(44本)として「もっともっとたくさん打つつもり」とアーチ量産に自信をのぞかせ、2012年のカブレラ(タイガース)以来となる三冠王を視界に入れる。盗塁はここまで失敗なしの5個。この調子なら、過去にメジャーで25人しか達成していないトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁以上)も現実味を帯びてくる。 大谷が打線の火付け役となり、チームは10―0と大勝。連敗を3で止めた。通算725試合目(登板のみの試合を除く)での176号到達は、くしくも二刀流の〝元祖〟で通算714本塁打を放ったベーブ・ルースと同じペースだ。「シーズンは続いていく。早く切り替えて次に臨みたい」。休養日を挟み、23日(日本時間24日)のナショナルズ戦から敵地で9連戦。ワールドシリーズ制覇を目指して突き進んだ先に、輝かしい記録とタイトルが付いてくる。