自己所有より支出が高い〈賃貸〉か、銀行に“420回”決まった金額を払う〈持ち家〉か…損得勘定で考えるより「大切にすべきこと」
人生のなかでも大きな買い物となるマイホーム。大切な自分の住まいを正しく選択するために欠かせない知識を身に着けたうえで、取引をすることが重要です。千日太郎氏の著書『マンガでわかる 不動産屋が絶対に教えてくれない「最高の家」の買い方』(扶桑社)より、詳しく見ていきましょう。 【早見表】3,000万円30年返済の住宅ローン…金利差による利息分
不動産会社の営業マンはあくまでも「取引相手」
マイホーム購入は“人生最大の取引”と言っても過言ではありません。何軒もの不動産投資をしている人以外は、物件購入をする機会は人生に一度きりの人がほとんどでしょう。 誰もが物件を買った経験がない状態で、私たちが物件を買う相手は、不動産会社の営業マンという百戦錬磨のプロ。私たちは初心者ですから、さまざまな物件情報を持ち、何軒もの購入事例を見てきた営業マンを頼るのは当然のことです。 しかし、ここでいま一度認識しておきたいのは「不動産会社の営業マンは私たちの味方ではない」ということ。とはいえ、敵でもなく、「取引相手」だということを、しっかりと心に留めておきましょう。 私たちが購入したい家は、自分と家族の人生を豊かに送っていくための大切なものですが、営業マンは家を売るまでが仕事です。家を購入したい私たちと、家を売りたい営業マンの需要と供給が一致しなければ、取引はすべきではないのです。当然のことだと思われるかもしれませんが、いざ自分が物件を買う当事者になると、このことを忘れてしまいがちです。 話が進んでいても、少しでも「何かおかしいな」「良くない方向に進んでいるな」と引っかかりを感じたら、一度立ち止まりましょう。そして、いくら「これだけ時間をかけたのに…」と思っても、今後の取引を中断する勇気を持つことも大切なことです。
不動産に掘り出し物はない
マイホームの購入はよく「人生最大の買い物」と表現されますが、「買い物」という表現は、私たちの感覚をおかしくしてしまいます。物置やキャンプ用品を買うのとは次元が違うわけですから、家の購入に従来の買い物の基準を当てはめてはいけません。マイホーム購入は「人生のプロジェクト」と考えましょう。 ただ、不動産会社からすれば、家は「売り物」です。お金さえ払えば買えるものですし、買う人が「お客」になります。営業マンは「売りたい家」をプレゼンし、「お買い得」「掘り出し物」という耳ざわりの良い言葉を使って、さまざまな物件情報を提示してくるでしょう。 そうするうちに、私たちは少しでもお得で、少しでも条件が良い物件が欲しくなり、損得勘定に支配されてしまいます。営業マンに「早い者勝ちのお買い得物件が出ましたよ」と言われたら、飛びついてしまう。迷っている間に売れてしまうと、「先を越された!」と焦る。営業マンの言う通りにしなかったから、お買い得物件を逃してしまった…と悔しくなります。 だからこそ、ほどなくして「また掘り出し物が出ましたよ」と言われたら、その物件の良し悪しを冷静に見極められず、急いで契約してしまうことも多々あるのです。 不動産に「掘り出し物」などありません。すべて価格に反映されています。損得勘定に左右されることなく、冷静になることが重要なのです。